日本でも、以前は大工や棟梁といえば社会的に尊敬される職業であった。

大工や棟梁は高い技能を要する職業であり誰でもが到達できる職能ではなかった。

大工を目指しても技能力が不十分で中途で断念せざるを得ないこともあった。

一人前になるには、10年以上も修業が必要であった。

大工の仕事は、個々の木工加工の技術だけではなく、建築現場の段取り(工程管理)から、工事費の資金管理のすべてにおよぶ仕事である。

住宅の建設工事費は、一般に、個人の年収の何倍にも及ぶものであり、かつ大工棟梁は、建築主の提示する予算の範囲内で、建築主の要望にこたえなければならない。

別の見方をするならば建築主は大工棟梁に対し、その年収の何倍もの価値ある資産形成を委ねているから当然、人間的にも絶大な信頼をかちとることができなくてはならない。