学祭は11月2日~4日です!どうも森田です!


「風立ちぬ」見てきたー!


以下、ネタバレどころの騒ぎじゃないネタバレ感想文です。

まだご覧になってないお方は、スクロールしないでね!






















はい、「風立ちぬ」の感想を、思いつく順に書いていきます!


■イケメン堀越二郎

真面目で、背筋がピンと伸びてて、朴訥で、誠実な好青年。

ああ、この時代の男性ってなんでこんなに素敵なのでしょうか!

ジェントルマンシップが根付いてるというか。

そして、メガネ男子!!!かわいい!牛が好き!

庵野さん(エヴァの監督さん)が声をあてていらっしゃいます。やさしいお声ですね。



■戦闘機「隼」

世界初の小惑星サンプルリターンを成功させた日本の小惑星探査機「はやぶさ」。

そのはやぶさが目指した小惑星には「イトカワ」という名前がつけられました。

イトカワの名前の由来は、航空宇宙の分野で活躍された工学者の糸川英夫氏です。

意図的なものなのかは分かりませんが、

この糸川博士が戦時中に開発した戦闘機が、「隼」という名前でした。


作中に出てくる「隼」は、糸川博士の隼(中島飛行機製)ではなく、

三菱が開発したほうの「隼」。

作中に描かれたように、選考会の時に空中分解してしまい、落選してしまったのですね。


ちなみに、落下傘で脱出したパイロットの方は、「中野さん」とおっしゃるそうです。



■イケメン本庄さん

二郎さんの同僚。

声は「八重の桜」のあんつぁまです。まごうことなきイケメン!!

風呂上りのサービスシーンが…

えっ、サービスシーンじゃないんですかアレ…



■関東大震災

大正12年9月1日、関東地方を襲ったマグニチュード7.9の地震。

亡くなられた91,344人のうち、8割が火災によって命を落とされたそうです。

火災は熱風を巻き起こし、三日間燃え続け、東京の市街地の44%を焼き尽くしました。

火災が広がった原因としては、

・人口密度の高さ

・木造の建物が多かったこと

・その建物が隙間なく密集して建っていたこと

などが挙げられます。


ちなみに、地震発生の数日前に内閣総理大臣の海軍出身の加藤友三郎さんが急死していました。

そのため、加藤内閣で外務大臣だった内田康哉氏が臨時首相を務め、

地震発生の翌日、加藤さんと同じく海軍出身の山本権兵衛さんに組閣の命が下りました。

帝都復興院が創設され、総裁には後藤新平さん(通称シンペーちゃん)が就任。


このシンペーちゃん、もともとはお医者さんなのですが、ものすごく有能!

まちづくりに関しても大いに辣腕を振るいました。


新しくできた街とかを見ると分かりやすいのですが、

街の中に必ず公園がありますよね。

これは関東大震災の教訓を活かして、地震発生時に住民が避難したり、

火災が広がるのを防ぐために造られるのです。


こうして計画的に復興された東京の町並みには、揺れや火災に強い鉄筋コンクリートの建築が現れます。

その代表格が、「デパート」。

現在でも東京の銀座あたりはデパートが林立していますが

あれが出現したのがこの頃なんですね。

ガラス加工技術が発達し、ネオンが輝き始め、「ウインドウショッピング」という新しい娯楽が誕生しました。

暁テル子さんの「東京シューシャインボーイ」 にも歌われる「銀ブラ」は

「銀座を(あてもなく)ブラブラ歩くこと」という意味です。


そして、この関東大震災の火災の燃え広がり方を研究して、

太平洋戦争の東京大空襲が行われた、と言われています。



■夢がくっつく

二郎さんが憧れる、イタリアの航空機設計者カプローニさん。

夢の中で、二人が出会います。


カプローニさんは二郎さんにこう言います。

「飛行機は、戦争の道具でも金儲けの道具でもない。美しい夢だ」


その美しい夢を形にするのが、設計家だ、とおっしゃる。


二郎さんの零戦も、美しい。

なので、戦争のシーンというのはほとんど出てきません。

この作品で零戦は、第二次世界大戦における日本海軍の代表的戦闘機としてではなく、

二郎さんが具現化した美しい夢として描かれています。


逆にそこから、戦争行為の悲惨さが垣間見える。

こんな美しいもので、人を殺傷して建物を破壊するなんて…


機能美って究極に美しいですよね。

わたし、よくお城とか見に行くんですけど、よく思います。

飛行機を語るカプローニさんの目がキラキラしてて、すごくいいな。おひげがすてき。



■空母!

上司の黒川さんと一緒に、空母に載る二郎さん。

もっと知識があれば、なんていう名前の空母か分かったのになあ…

フラッシュデッキかアイランドか、くらいしか見分けつかんのが悔しい。


あと、戦艦っぽいのも描かれていたのですが、個体識別できず。

見る人が見れば、「あの艦橋の形は…」とか言って、名前当ててくれそうなものだ。


あと、黒川さんの家の家紋が、北条氏と同じでした。

黒川さんを実写化するなら、香川さんかサダヲさんを希望する。



■新聞紙の見出し

「上海事変」と「肉弾三勇士」だった!

肉弾三勇士(爆弾三勇士)は、鉄条網を突破するためのバンガロール爆薬筒を抱えて敵陣に突撃し、散っていった三人の工兵さんのことです。

※バンガロール爆薬筒についてはこちら


■菜穂子さん

菜穂子さん…!!!!


ジブリ作品の中で、いちばん等身大で魅力的な女性な気がする。


二郎さんの妹・加代ちゃんが、結核で養生している菜穂子さんに面会。

二郎さんが菜穂子さんを家に一人放置して仕事をしていることに怒りをあらわにします。
「わたし、菜穂子さん大好き。菜穂子さんかわいそう…!」

っていう加代ちゃんの言葉が、もう、つらかった。

みんな優しいんだ、この作品に出てる人は…


そして加代ちゃん、二郎さんのことを「にぃにぃ」と呼ぶ…



■風

作中で二郎さんがつぶやく詩は、西条八十の「風」。


誰が風を見たでしょう

僕もあなたも見やしない

けれど木の葉をふるわせて

風は通りぬけていく




【総括】


歴史が好きだと人に話した時に、大概「ああー歴女ね、レキジョ!」と言われます。

いや、歴史痴女なんです、と訂正を入れることができないので、

「えへへ、そうなんですよお~」と相づちを打ちます。

歴女って便利な言葉ですね。


「やっぱり戦国時代とか好きなの?」と聞かれて、

「戦国時代(特にお城)も好きですが、近代史のほうが好きです。日露戦争とか、太平洋戦争とか」

と答えると、ウワッて顔で見られるんですね。

なんか、危険思想の持ち主だと思われるらしいんですよ。


ちがうんですよ!!!

戦争の仕組みとか、兵器とかには興味シンシンなんですが、

基本は平和を愛するピースフルな人間なんです!!


こういう複雑な歴史痴女心を、上手に昇華してくれたような作品でした。


ちなみに「歴史痴女」とは、歴女をこじらせた、もう手の負えない歴史好き女子のことです。




それから、主人公の堀越二郎さんは実在した人物ですが

二郎さんの半生をそのまま忠実にトレースした作品ではありませんので、注意。

堀辰雄さんの「風立ちぬ」を下敷きにしています。


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さて、次は「終戦のエンペラー」見に行こうかしら。