少しまえの話になりますが、テニス、福岡国際女子テニス。伊達公子選手が、中村藍子選手に敗退しましたね。
おめでとう、藍ちゃん。残念でした、伊達選手。
そして、おめでとう、伊達選手。
これは灰原の勝手な考えなのですが、岐阜の大会のときから、伊達選手は、ある意味、負けるために復帰なさったように思えてならないのです。
もちろん、コートの上では完全に勝利を目指していらっしゃるんだろうし、試合を軽く見ていらっしゃるなんて失礼なことは、夢にも思ってないです!
でも、テニスを素晴らしいものだと、ひとつひとつの試合がなによりも大切だとご存知の方、だからこそ……灰原は、伊達さんが、あえて負けにいらしたような気がしてならないのです。
もちろん、テニスが本当に楽しいと思える今だからこそ、復帰したい……という思いも、あったことでしょう。
勝利の歓喜は素晴らしかったことでしょう。
でも、復帰のときのコメント「若手の刺激になりたい」という伊達さんの言葉。あれが、まごうかたなき本心であり、それどころか、復帰の動機のかなりのパーセンテージを占めるのだなと。中村藍子選手との試合を報じたわずかな映像や、その後の記者会見を見て、灰原、つくづく感じ入りました。
伊達選手は、マンガ「エースをねらえ!」が大好きだったと、以前、語っていらしたことがあります。
「エースをねらえ!」に、かわいがってきた後輩・岡ひろみに、いよいよ追い抜かれるときが来たと察したお蝶夫人が、試合中に、自分のすべての技術を出す、という場面が出てきます。いままで見せたことがなかった技術まで使って、全力で叩き潰しに行くのです。その激しいプレイに一瞬とまどうヒロインは、やがて先輩の真意を察するのでした。
「わたしのために、見せてくださっているんだ」
伊達さんの復帰のニュースを見るたびに、灰原は、このシーンを思い出します。お蝶夫人みたいですよ、伊達さん。
テニスファンとして、伊達公子選手独特の、極端に短いテイクバックと目のさめるようなライジングを、ふたたび目にすることができたこと、すごく、うれしいです。
グラフやダベンポートといった、大柄な選手に、小柄な伊達選手が、この独特のプレイスタイルでもって、互角に渡り合っていた時代を、素晴らしい対戦の数々を、なつかしく思い出します。
伊達さんの思いを、若い選手たちが受け取ってくれたなら、もっともっとうれしいな、と、思います。
選手にとって、試合はなにより大切なものです。だからこそ、そこで負けるのは厳しく苦しいのです。負けること、勝つこと、ごくごくあたりまえに、試合ならばそこにあるものが、伊達選手の存在によって、忘れることも目を逸らすこともできないほどハッキリと、浮かび上がってくる。
スポーツ界には、限界といわれる年齢を超えて、長く現役を保つ選手がたくさんいます。素晴らしいことです。それでもあえて言うと、スポーツには、きわめて若い人たちの特権という部分が、あります。
人間の時間は無限ではありません。いま、どんなに若い選手の上にも、限りある時が流れています。
「この一球は絶対無二の一球なり」
若い選手たちに、彼女らの時の貴重さを、伊達選手は教えている気がする。
そして、きわめて若い人々の特権であるスポーツに携わる上ですらも、時を恐れる必要はないと、伊達選手は、いろんな人に、伝えてくれている気がします。
37歳の伊達公子選手は、24歳の伊達公子選手に、ただテニスの勝負でいったら、絶対に叶わないはずです。でも、人間としての力でいったら、いまの伊達選手のほうがはるかに大きく、強い。かつてと同じようだから素晴らしいのではなく、かつてとはぜんぜん違うから素晴らしいのです。プレイのひとつひとつが、心に刺さるのです。
年を取るのって、素敵ですね。
中村藍子選手は、伊達公子選手が岐阜で手渡した思いを、受け取ってくれたな、と、灰原は思いました。
だから、心の底から、言いたいです。中村選手、おめでとう。伊達選手、おめでとう。中村選手は、福岡国際では敗退しましたけど、これからグランドスラムシーズンに入るにあたって、大きなものを得られたはずです。
つぎの試合も頑張ってください。
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