オフアイスシーズンということで(ISU競技会がないだけで、アイスショーはいまがたけなわですけども)、フィギュアスケートのニュースもシーズン中ほどはないよなーと思いながら、サイトめぐりしていたら、フィギュアスケート系ウェブジン『Absolute Skating』で新着記事を見つけました!
HPはこちら→ http://www.absoluteskating.com/
コレオグラファー、ローリー・ニコル氏のインタビュー記事です。
ローリー・ニコル氏といえば、いまやフィギュア界最高のコレオグラファーのひとり。というか、フィギュア界最高のコレオグラファーだ、と言い切っても、誰からも文句は出ないのではないでしょうか? 他の有力コレオグラファー……デヴィット・ウィルソン氏やカート・ブラウニング氏、トム・ディクソン氏、ニコライ・モロゾフ氏などと比べてみても、トップランクの選手に提供しているプログラム数では、彼女は群を抜いています。
記事のはじめのほうに、ニコル氏がいままで手がけたスケーターの名前が列挙されていますが、これがほんとうにすごい。
書き写すのがあまりに大変なんで、原文そのまま貼ります。
That spells nothing short of being a much sought after Canadian top choreographer whose merit list includes working with Michelle Kwan, Jamie Sale & David Pelletier, Timothy Goebel, Takeshi Honda, Brian Boitano, Brian Orser, Kurt Browning, Tara Lipinski, Josee Chouinard, Jennifer Robinson, Tatiana Totmianina & Maxim Marinin … the list is almost endless. And many eligible skaters competed this past season with programs designed by Lori, such as Jessica Dube & Bryce Davison, Fumie Suguri, Patrick Chan, Chris Mabee, Xue Shen & Hongbo Zhao, Kimmie Meissner, Evan Lysacek, Mao Asada, Carolina Kostner
いったいどうやったらこんなに作品が作れるんでしょうか。超人だ。
そんな超人ニコル氏のこの記事、前半は、ローリー・ニコル氏がどうやって膨大なプログラムを練り上げるか、という点について書かれています。
ニコル氏は、基本的に、プログラムの音楽を選ぶところから振付をスタートさせる、といいます。99%、曲選びはニコル氏に任されるそうです。もちろん、希望の方向性のヒアリングは、はじめにあるようですが。
そんな中で、今年の東京ワールド向け、カロリーナ・コストネル選手のプログラム「メモリーズ・オブ・ゲイシャ」は、選手側から「これで滑りたい」と強いリクエストがあった珍しいケースだったそうです。「新しい体験で、とても楽しかった」とニコル氏は言ってますから、今後、曲指定の振付というのも増えてくるかもしれません。
真央ちゃんも、来年は、曲キメウチで頼んでみたらどうかな???
多くのコレオグラファーが、先行するフィギュアスケートプログラムからインスパイアされて新しいプログラムを完成させるのに対し、ニコル氏は、あんまりスケート競技会そのものを見ないといいます。東京ワールドのときも自宅にいてお子さんの面倒を見ていて、中継を見ていなかったんですって。
ニコル氏くらいの売れっ子になっちゃうと、たいがいの国際競技会が自分のプログラムvs自分のプログラムみたいなことになっちゃうから、もしかして競技会を見るのはつらいのかもしれませんね。当然、基本的に競技会場には行かない主義のニコル氏ですが、昨年のキャンベルズカップのときは、エヴァン・ライサチェック選手から、帯同できないコーチのフランク・キャロル氏のピンチヒッターとして同行を依頼されたため、しかたなく会場に行ったとか(……エヴァン君……)。
ニコル氏の振付のインスピレーションの源は、先行するプログラムよりも、頻繁に足を運ぶバレエやダンスの公演や、博物館や美術館などだそうです。
記事の後半は、ニコル氏の、新採点法についての意見がまとめられています。
ニコル氏は、新採点法になって良かったところは、どの演技がどのレベルのものであるか、平均的な演技とはどんなものであるか、というイメージが、選手や指導者、またジャッジにも、に客観的にわかりやすくなったことだ、と言っています。
また、転倒が致命的なミスでなくなったことも良かったことのひとつだ、と彼女は言っています。
たしかに。
転倒ひとつに対して、GOEマイナス3にディダクションマイナス1、という基準が定められたがゆえに、選手は転倒した瞬間に自分が何点失ったのか知ることができます。以前のように、「転倒した」「失敗した」という印象でなにもかも失うわけではなく、ほかのエレメンツにはきちんと点数がもらえるわけですから、落ち着いて最後まで滑りきろうという気持ちになりやすいはずですもんね。
世界選手権のような場所では、たいがいライバル同士お互いのベースバリューをすでに知っているので、とくにSPで失敗した場合は、現在の点差とFSのベースバリューを計算して、どのようにすれば挽回が可能か、明確な対策をたてることも可能です。
東京ワールドでは浅田真央選手はそうした、と、これはインタビュアーさんが言い添えていますね。
真央ちゃんはSP5位でしたが、ベースバリューで計算すれば、SP1位のキム・ヨナ選手をかわして金メダルの可能性は充分あった。だからこそあきらめずにFSに挑めたのかもしれない。旧採点法の順位点方式なら、SP5位ってもうほとんど絶対優勝できないんですよ。SP3位以内に入れないとまずFSで逆転は不可能だった。
新採点法が機能しているからこそ、彼女の銀メダルはなったのだと。その点にはニコル氏も同意しています。
しかし、それでも、まだ新採点方式には改善すべきところがある、とニコル氏は言います。
まず、あまりにもジャンプが重要になりすぎて、ジャンプで勝敗が決してしまうために、ジャンプを跳ぶためにつなぎの振付がおろそかなりがちなところ。ジャンプを飛びやすいためだけにプログラムを組むと、すべてのプログラムが平板で、個性のないものになってしまう。
さらに、ジャンプよりも、ニコル氏が危惧しているのはスピンです。現在の採点方式では、エッジチェンジ、足変え、ポジションチェンジ、などの要件を満たさなければスピンの得点が伸びないため、曲やプログラムの雰囲気とそぐうかどうか検討せず、とにかくコンボスピンを行うようになってしまっている。ローリー・ニコル氏本人は、安直なコンボスピンは振付に組み入れない努力をしていらっしゃるようですが、毎回大変な苦労みたいです。……そうですよねー。
また、最近のコンボスピンのポジションには美しくなく、たんにアクロバティックなものも多い、とニコル氏は苦言を呈しています。ジュニア選手たちの軟体動物のようなスピンを見ていると、バンクーバー五輪では彼らがどんな体になっているのか心配になります、だそうです。たしかにキャロライン・ジャン選手やミライ・ナガス選手の、レイバックやビールマンスピンって、脊椎どうなってるのか不安になるようなスゴい体勢でしたもんね。どうも口ぶりから感じるに、ニコル氏は、あんまりアクロバティックなスピンは、芸術性に欠けるとともに、選手たちの競技生命を縮めるんじゃないかと、心配しているようです。
さいごに提言として、ニコル氏は、これからは女子選手に、スパイラルシークエンスを、ほかのステップシークエンスに置き換える試みが必要なのではないか、と語っています。
現在の女子のプログラムでは、スパイラルシークエンスが必須要素になっており、これに任意のステップシークエンスひとつを組み合わせる、ということになっています。2種類の異なるステップをプログラムに組み込まなければならない男子に対して、女子はステップは1種類でいいのです。
スパイラルを必須要素からはずし、ステップのひとつとして仲間にくくり、スパイラル、ストレート、サーキュラー、サーペンタインのどれかからふたつ選ばせる。というようにしたらどうか、というのが、ニコル氏の意見。
まあ、ルール改正したとしても、女子は相変わらずスパイラルを選ぶ確率が高いでしょう。ステップでレベル4をとるより、スパイラルのレベル4要件を満たすほうが容易ですから……。しかし、ステップとスパイラルを選択制にすることによって、2つめのステップにチャレンジする選手も出てくるかもしれません。
いま現在の女子のプログラムがどれもどうも似たりよったりなのは、どのプログラムにもレベル4を獲得するために3秒保持ルールで4つポジションチェンジしたスパイラルが入っているからではないか、と、ニコル氏は言います。
ふむふむ。ニコル氏の提案するスパイラルについてのルール改正案、灰原も賛成だな。スパイラルがいけないということではなくて、選択の幅が増えたほうがいろいろ面白いと思うからです。
東京ワールドのジェフ・バトル選手のSP、サーキュラーステップからストレートラインステップへ、ステップからステップへの挑戦的プログラム、あんなの、女子でもやってくれたら楽しいと思うんだよなあ~!
1日6時間氷に立つ日が、年間300日に上るというローリー・ニコル氏。5、6月はプログラム作成の最盛期。追い込みですね。来シーズンのために、いくつプログラムを作るんだろう。
月並みですが、心の底からこう思います。
頑張れ!!! 氷の鉄人ローリー・ニコル!!!
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