※この記事は「15年遅れのペレストロイカ その2(http://ameblo.jp/haibaran/entry-10026393084.html )」の続きです。よろしければ、まえの記事から読んでいただけるとうれしいです。※



選手たちへの失望を語るミーシンコーチに、インタビュアーは過激な質問をぶつけます。


インタビュアー:フィギュアスケートファンのあいだでは、女子シングル国内選手権10位以内の選手については家族から話して、合宿生活で特訓させようというような意見も飛び出しています。そうすれば3年後の欧州選手権とオリンピックではメダルを取れるのではないかと言われていますが、この意見についてはどうお考えになりますか?


ミーシン氏:強化において連盟は手を打つべきではありますが、その方法には私は賛同しかねます。選抜選手の合宿特訓があたりまえだったソビエト時代、私たちは女子の有望選手を育てることができませんでした。
私は、連盟は上位10名を強化するのではなく、10歳から11歳の才能ある子どもをたくさん募集すべきだと考えています。私自身、すでに興味深い10歳の女の子を見つけています。彼女には才能がある。いま10歳前後の子どもたちを鍛えつつ、現在国内上位にいる選手たちの訓練を続ければ、私たちは最短距離で目標に近づけると考えます。バンクーバーはスケート競技の終りではありません。
ロシアスケート連盟はバンクーバー五輪で起こるであろう状況について、冷静に分析しています。私たちは未来について考えるべきです。才能ある女の子を集めるための国民的プログラムが必要です。私たちはすでに活動を始めていますが、国家のサポートは充分ではありません。(かなり大意。意訳)


……ほほーう。バンクーバー五輪では、ロシアが女子フィギュアの一線からいったん下がることを「やむなし」と、現在のロシア連盟のお偉方は考えている、ということですね。いまからジュニア育成してもバンクーバーには間にあわないから、その次を狙うよと。インタビュアーは納得できなさそうな感じで「男子の状況は、女子よりだいぶまともですが、なぜこんなに差があるのでしょうか」と訊ねます。ミーシン氏はこたえます。


ミーシン氏:たしかに、男子スケーターには才能豊かな人材が揃っています。しかし、国際経験があるのは少数のスケーターだけ……はっきり言えば、グリアツェフとドブリンだけです。彼らを重要視するあまり、ほかの才能あるスケーターのチャンスをつぶしてきたかもしれません。


インタビュアー:プルシェンコは戻ってこないんですか?


ミーシン氏:私自身はプルシェンコは世界のトップレベルでまだまだいけると感じています。プルシェンコ自身からも、まだスケートをしたいという意志を伝えられてもいます。いま、私は彼の決定を待っている状態なんです。待ちながら、一方で、カロリーナ・コストナーやステファン・ランビエールの練習に協力しています。


え、えええええええ!? なんですと!?
ミーシンコーチが、イタリアのコストナー選手や、スイスのランビエール選手の練習に協力している!? とくにコストナー選手なんて、メルトダウンした、とまで酷評したソコロワ選手の、ヨーロッパにおける最大のライバルだったのに!?
ミーシンコーチ驚きの告白。インタビュアーも「プルシェンコに復帰の可能性があるのは喜ばしいが」と前置きして、そこに突っ込んでいきます。「ロシアの現状を憂いながら、あなたはどれだけの外国の選手を手助けしているのか?」
ミーシンコーチは、さらっとこう答えるのでした。


ミーシン氏:かなり多くの外国人選手に教えていますよ。ステファン・ランビエールも私のクラスを採ったし、ケビン・ヴァンデルペレンも私のキャンプに3~4回来ましたね。
レッスン代さえ払ってくれれば、才能に関係なく、私のコーチングを受けることはできます。カロリーナ・コストナーであろうが、ロシアの選手だろうが、私は分け隔てしません。レッスン代は同じですから。(中略)
かつて最先端の機材を駆使して、さまざまなノウハウを開発した「ソビエト学校」はいまはなく、外国のコーチは私たちから吸収できるものはすべて持っていきました。残念ですが、私たちには、もはやソビエトが専有していたノウハウはなにひとつ残っていません(かなり大意)。


ソビエト連邦という巨大な国家が、威信をかけて国費を投じて開発したロシア式メソッドは、かつて、重大な国家機密でありました。しかしソビエト崩壊以降、メソッドはもはやなにからも守られず、外貨と引き換えに国外に持ち出された。ソビエト学校に囲い込まれていたスポーツエリートたちは職をもとめて国をわたり、異国でコーチの職につき、ロシアに残ったコーチのもとにも留学生がやってきて、ロシア式のメソッドを叩き込まれて帰っていった。
コーチたちが私腹をこやすためにメソッドを売った……とは、灰原は思いません。ヤグディン選手の自伝にありましたが、ロシアの有望スケーターたちは、レッスン代をコーチに支払わないのだそうです。「これは」と見込んだスケーターを見つけると、レッスン代のみならずリンク代、衣装代、振り付け代、ときには下宿させて生活費からなにから、すべて丸抱えで、ロシアのコーチは選手を育てるのです。その生徒が成長し、国外大会で賞金を獲るようになったら、賞金から何パーセントかをマージンとして受け取れますが、そこまでは、いっさい選手からなにも取らないそうです。もちろん選手が育ちきらなければ、投資は無駄になります。ヤクディンもプルシェンコも、貧しい家庭から、そうやって大スケーターに育ったのです。
ソ連時代の国家で選手を丸抱えにしたシステムを、コーチが丸抱えにする方式にコンバートして、ロシアフィギュアスケート界はいままでやってきました。しかし、時代が変わり、ソビエト学校の遺産を持ったコーチも数少なくなりました。今後もメダルを期待するなら、国家が物理的金銭的なサポートをもっとしてくれなければ、もう無理だ……ミーシンコーチの主張は、ところどころ「?」な部分もありますが、おおむね大体灰原の腑に落ちます。
ミーシンコーチは、いままで、フィギュアスケートコーチングについての本を何冊か出版しています。「今後もなにか本を出す予定がありますか?」というインタビュアーに対して「いつか、フィギュアスケートのコーチとしてのキャリアが終わったと思った時には『チャンピオンの作り方』といった本を出すつもりです。でも、まだ私にはコーチを辞めるつもりがないので、執筆予定はだいぶ先ですね(大意)」と答えるミーシンコーチ。
果たして彼の元に、プルシェンコ選手は戻るのか? 灰原的には、ルータイ選手特訓計画が興味深かったですけど。ぜひ国家なり、企業なりのサポートを受けて、もういちど、フィギュアスケート大国ロシア、復活して欲しいですよね! 



さいごにちょっとテニスのお話。WTAテニス、ドバイオープン。今日ドロー表よくよく見たら、セレーナとシャラポワは大会前にエントリーキャンセルしてました。セレーナは風邪、シャラポワは、東レパンパシで痛めた足の大事をとっているそうです。
日本の杉山愛選手は、残念ながらシングルは2回戦敗退。ハンチェコバ選手とのダブルスでは勝ちあがっていて、明日の準決勝で、ブラック&ヒューバー組と対戦します。
シングルも明日は準決勝。エナンvsクズネツォワ、ヤンコビッチvsモレスモの対戦。ヒンギスは準々決勝でヤンコビッチに負けたようです。
ところで、ドバイオープンの公式HPに、試合のハイライト映像の動画とともに、大会のウェルカムパーティーの映像も上がっていました。
予想通り、ゴォォォォォォォォジャス!! なパーティですね!! 男性たちのファイアーダンス、立派なコブラを操っている人もいるし、鷹匠もいる。なんと、パーティ会場にはラクダまでいますよ! あっ、モレスモがラクダに乗ってる! カッコイイ!
ドバイアジア大会のオープニング&クロージングのパフォーマンスも派手でしたが、さすが世界的リゾートドバイ、華やかですね。フェアウェルパーティで、チャンピオンズダンスを踊るのが、どうかエナンでありますように!





ダイナバナ
女神幻想ダイナスティア は乙女のためのコミュニケーション重視のMMOオンラインゲーム。

争いのない世界にあなたも遊びに来てね。
今なら無料で遊べます!


お買い物バナ

※乙女なショッピングモール「乙女のおかいもの」でもうきうき情報紹介中!


ダイナ情報バナ

※メルマガ「ダイナスティア情報局」登録はこちらから!