※この記事は「ロシアはいま その1(http://ameblo.jp/haibaran/entry-10026293569.html )」の続きです。よろしければ、さきの記事から読んでいただけるとうれしいです。※
「ロシアのフィギュアスケートは、なぜこれほど急激に弱体化したのでしょうか(意訳。原文では「何が起きたのか?」とだけ聞いています)」と、インタビュアーは続けて訊ねます。コストマロフ選手は答えます。
コストマロフ選手:ぼくらはずっと、古いソビエト学校で食べてたようなものなんですよ。将来的なコーチやリーダーになりうる選手たちは、ソビエト崩壊とともに、国外に分散していきました。いま、主立ったコーチたちのほとんどがも、外国で指導しています。ワシリエフも、タラソワも、それにズーリンもね。
悲しいことだけど、それは、支払い能力の問題です。ロシアのトレーニング環境も、生活環境も、良くありませんから。
ソビエト連邦崩壊っていつだっけ……思わず遠い目をしてしまう灰原、1991年までソ連は存在したそうです。1991年って、映画「バブルへGO!」の舞台になってる年じゃない? いまから16年まえです。
ロマン・コストマロフ選手は1977年生まれ、相棒のナフカ選手は1975年生まれです。ふたりとも、ソ連邦崩壊時には10歳を越えていたはずで、そのころにはすでにスポーツエリートとして選別を終えられていただろうと想像できます。
ちなみにロシアの輝ける星、イリーナ・スルツカヤ選手は1979年生まれ、プルシェンコ選手は1982年生まれ。ソルトレイク金メダルのヤグディン選手は1980年生まれで、エレーナ・ソコロワ選手と同い年です。ソ連邦崩壊時9歳のプルシェンコ選手あたりのラインが、ギリギリ共産主義的システムによってスポーツエリートとして選別された世代ではないでしょうか。まあ、ペレストロイカのあたりからガチガチのシステムは崩れはじめていたとは思いますが……(ペレストロイカ! 懐かしい言葉を使ってしまった! 歴史の教科書じゃなくて、新聞やテレビにこの文字が踊っていたのを、けっこうおばちゃんな灰原はバッチリ覚えていたりします。懐かしいからもう一回書いちゃおうかな。ペレストロイカ!)
ナフカ選手が、マラト・バシャロフさんという俳優さんと組んでアイスショーに出演しているのと同様、現在、コストマロフ選手は、エカテリーナ・グスエワさんさんという女優さんと組んで、アイスショーに出演しているらしい。おそらくナフカ選手が出てるのと同じアイスショーだと思うけど。ショーへの出演を巡って、現在ロシアスケート協会の重鎮となっているタラソワ氏と確執があったのでは、というインタビュアーの質問を、コストマロフ選手は一笑に付します。「タラソワ氏はエカテリーナが、たんに嫌いなんですよ」。ひどいなー女優さんのせいにして。まあ、芝居方面にはさすがにタラソワコーチの威光もあんまり関係なさそうだし、丸く治めるためのはいいのか? しかし、コメントに「演し物の出来栄えは、ぼくらがいちばんで、ほかの審査員はみんな満点をくれたのに、タラソワだけ5.5点だったんです。偏ってますよね」とわざわざ付け加えるあたり、ややエスプリが効いている。もう金メダルも獲ってるし、あとは悠々自適、スケート協会のお偉方の機嫌をさほど気にするつもりはないよという雰囲気です。
まあ、こないだのタワソワ氏のバースデーアイスショーには、ナフカ&コストマロフも出演していたし、いまのところコストマロフ選手とタラソワコーチに大きな確執とか問題はなさそう。
インタビュアーは、最後に、こんな質問をします。
「競技生活を終えて、イリヤ・アベルブフ(アイスダンス・ソルトレイク銀メダリスト)はアイスショーのプロデュースをはじめ、エフゲニー・プルシェンコはホテルを建設し始めましたが、あなたはなにかを始める予定はありますか?」
ホ、ホテル経営!? どこに行っちゃうんだプルシェンコ……。本筋とは関係ないところで灰原、思わず驚愕してしまいましたが……この質問に対して、コストマロフ選手はこう答えます。
コストマロフ選手:言いにくいんだけど、ぼくとジェーニャ(プルシェンコの愛称)の懐具合は相当違います。ぼくにホテルを作るようなお金はありませんよ。ぼくは、将来的にもずっとフィギュアスケートに関わっていくだろうと思う。それに、ぼくとターニャ(ナフカの愛称)は完全にアマチュア引退するって決めたわけじゃないですよ? ぼくらは練習してるし、ずっと好調で、アベルブフのショーにも参加しています。来シーズンの競技に復帰するのは可能です。だけど、ぼくらが競技に戻るのは、完全に勝てると確信したときだけですよ。せっかくトリノで凱旋して、栄光をつかんだのに、みすみす泥をつけに戻るのは、馬鹿みたいですからね(大意)。
これまた語義をどこまで取るか、というハナシですが、コストマロフ選手は競技に戻るつもりは、あんまりないと考えたほうがいいんでしょうね……すっごくすっごく残念だけど。
言い古された言葉ですけど、勝負に絶対はないです。アイスダンスは、以前の相対評価な採点方式ではベテランに有利で、シーズン序盤の格付けからあんまり順位が動かなかったみたいですが、いまの絶対評価方式では、ベテランだろうがジュニアから上がったばかりだろうが、やることやったチームが勝つ。競技場においては、若いホフロワ&ノビツキー組にさえ、ナフカ&コストマロフ組が確実に勝てる保障はないわけです。まだ国内選手権は勝てても、国外には強敵いっぱいいますからね。ダンスはトリノからの居残り組が今年で大量引退の予定ですから、来年は選手層が若くなると予想されますが、若手がまたいいんだこれが。アメリカのベルビン&アゴスト組はすでにトリノで銀メダル取ってるし、カナダのヴァーチュー&モイア組もゴンゴン点数伸ばしてますからね。
確実に勝てなければ帰らない、と言っているということは、コストマロフ選手は、いまのところは、二度と帰ってくるつもりはないのだと思う。
ただ、ロシア国内では、ナフカ&コストマロフ組やプルシェンコ選手たち、ロシアの栄光を支えた「ソビエト学校組」の復帰希望論が、非常に根強いのだろうということも、コストマロフ選手のこのコメントから読み取れる気がしました。「もう戻らないよ」とカンタンに言っていい立場ではないということなのでしょう。ロシアのほかの種目に比べると、アイスダンスは格段に後輩の伸びがいいですが、それでも、ベテランが完全引退を表明することによる世論の失望感やフィギュアスケート熱の衰えを、防止するための発言のように、灰原は思いました。あくまで、灰原の印象ですよ!
まあ、シェン&ツァオ組も、引退宣言を何度か撤回してますから、ナフカ&コストマロフ組も、気が変わって、競技会に帰ってきてくれないとも限りませんけどね。
インタビュー全文を読むと、コストマロフ選手に対して、インタビュアーの質問が、正直ちょっとキツい感じがします。ヨーロッパ選手権直後で、予想以上のロシア選手団の低迷に国内世論がキツかった時期に採られたインタビューだと思うんですけど、現状に対する苛立ちが、なぜかコストマロフ選手にぶつけられちゃって、コストマロフ選手がニヒルとエスプリでやり過ごすという、そんな印象の記事でした。
あ、また長くなっちゃった。ミーシンコーチやソコロワ選手の記事まで書いちゃう予定だったのに。
ミーシンコーチたちの話題は、明日書くことにします。
混迷を深めるロシア世界選手権代表選考ですが、混迷ゆえに、日本人にはひとつの光明が見えたりして……。
怪我によってロシア選手権を欠場、東京ワールド代表選考からいったん脱落した、川口悠子&アレクサンダー・スミルノフ組が、東京代表候補にやや浮上しているっぽい。選考される可能性はわずかではありますが、ゼロではなくなった模様です。
リンクの先輩、井上怜奈選手に続けるか!? 川口悠子選手、頑張れ!
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