※この記事は、全米選手権男子シングル感想・その1(http://ameblo.jp/servlet/TBInterface/10024563866/fc56650c )の続きです。まえの記事から読んでいただけるとうれしいです。



注目の一騎打ち、エヴァン・ライサチェックvsジョニー・ウィアー選手は、ライサチェック選手の圧勝でしたね。
ジョニーのSPは、とても素晴らしい出来栄えでした。ただ、キスクラでもあまり、満足したようすがなく、表情に余裕がないかんじだった。点数的にはライサチェック選手に軍配が上がりましたが、僅差だったし、出来栄え的にはふたりとも甲乙付けがたかったのに、追う立場のライサチェック選手のほうが、リラックスしつつ、ほどよい緊張も保った、いい精神状態であるように見受けました。
よい精神状態のままに、フリーに挑んだライサチェック選手は、持てる力をすべて出しつせたのではないかと思います。フリー「カルメン」は、はじめから終りまで、ダイナミックかつ危なげがないスケーティングでした。
ライサチェック選手はいままで優等生っぽい印象が強く、いまひとつ色気に欠けるきらいがあったのですが、今年の「カルメン」では凄みのある表情も見せ、色悪エスカミーリョをよく表現していたと思います。
高さのある4T+3Tがクリアに決まると、長身のライサチェック選手だけに迫力がただごとではありません。フリー演技終了後、ライサチェック選手は感極まったように氷上にひざまずきましたが、ずっと頭の中に描いていた理想の演技、「ザ・ライサチェック」をついに現実のものにできたのではないでしょうか。
キスクラでも歓喜に満ちた表情のライサチェック選手、総合248.88点でトップに立ちます!! つぎの滑走者はジョニー・ウィアー……。
色を失った顔でリンクに現れたジョニー……「ナザレの子」という役作りのために憂わしい表情なのか、緊張が解けないのか、わかりません。やがて荘重な音楽がかかる。ジョニーらしいやわらかな動きから演技が始まる。
最初の大技は3Aからのコンボ。着氷に流れがなくセカンドに繋げられない!
つぎのジャンプはトリプルに逃げずにクワドトゥーループ! しかし両足着氷……。減点されたか、ダウングレードはあったと思います。ノーミスで難度の高いプログラムを決めたライサチェック選手とジョニーとの勝敗は、この瞬間に決したといえるかもしれません。
悲壮な音楽にのって、ジョニーのスケーティングは続きます。
つぎのジャンプコンボは3Lz+2T。2トゥループ!! セカンドはトリプルにするか、それが不可能ならサードジャンプをつけないと点数が出ない。ダブルでもせめてループなら。でも2Tなのです。ジョニーは、ふたつのミスによる心理的ダメージから回復していないのか……。そんな思いで見守るコンボスピン。……遅いです。しかもポジション変化にメリハリが、いまひとつ欠けている。
このプログラムの特徴が、悪いほうに出てしまった。もともと「ナザレの子」のスピンは、足変えが少ないために、くっきりしたポジションの主張で加点をもらわないといけないのです。乱暴な言い方になりますが、スピンは足変え入れただけでとりあえず得点上がるんで、たいがいの選手のプログラムは足変えスピンがたくさん入ってます。あえて足を変えない、というのは、選択的主張だと思うんですよ。忙しい動きではなくて、美しいポジションとポジションチェンジのテクニックで魅せるという……芸術性への挑戦というのかな。荒川静香選手のイナバウアーのように。けれど今回のジョニーには、自分の挑戦を支えるだけの強度が足りなかったように見えました。
3年連続チャンピオン、4連覇がかかるという立場は、心理的にかなり追い詰められますよね……。インタビューなどでは、むしろハイテンションに見えたジョニーですが、プレッシャーに苦しむがゆえの言動だったのかな。
コンボスピンのあとのサーキュラーステップは、さすがにジョニーで、滑りも踊りも素晴らしく美しかったです。そこからステップインの2Aはとてもクリア。なんとか盛り上がってきたところで、つぎの3Loを転倒。つぎの3Aもすっぽ抜けてダブルになり、ジャンプラストの3Sにセカンドをつけるも2T。ライサチェックに大きく引き離されたことは、素人目にも明白でした。
けれどジョニーは、ラストに意地を見せます。素晴らしいストレートラインステップ! 動きがとても大きく、ポジションのひとつひとつが綺麗で、スピードにのっていて非常に良かった。そこからオーラスのスピン……演技終了。
リンクサイドでコーチに迎えられ、抱きしめられたジョニーは、キスクラで慟哭しました。見ているこちらが胸が痛くなるほど、苦しんでいた。不本意な演技だったんだと思います。得点は213.20。ライサチェック選手とは、30ポイントも差がついてしまった。2位でした。この時点では。
このあとに滑った男子最終滑走者が、パーソナルベストをたたき出して2位に食い込んできた、ライアン・ブラッドリー選手です。




そんなふうにして、全米の覇権をめぐる闘いは、ライサチェック選手の勝利で終わりました。今大会のエヴァン君はほんとうに素晴らしい演技だったです。ただ、灰原は贅沢なので、「ザ・ライサチェック」を実現したエヴァン君に、あえてつぎを望みたい。つぎのシーズンには、いままで挑戦したことのない演目やテイストなどにチャレンジして、幅を広げて欲しいと思います。
つぎなるチャレンジのためにも、今年はライサチェック節をとことんまで極めて欲しい!
東京の世界選手権には、欧州王座奪取で意気揚がるブライアン・ジュベール選手や、うちの(うちの!?)高橋大輔選手や織田信成選手も待ち構えています。素晴らしい演技のぶつかりあいを期待しています!
一方のジョニーは、今年はほんとうにチャレンジの年で、よくやったと思います。今年もタラソワコーチの言うとおりにしていれば勝てたかもしれないとは思うけれども、あえて離れて、自分のしたい表現に向かって進んだこの1年の成果は、あとあと効いてくる価値あるものだと思います。
表現をする人は、ずっと同じものを作り続けることはできません。だって表現って結局、「自分」をいかに見せるかだから。変わらない人間がいないように、変わらない表現者ってありえないと灰原は思うのです。
ジョニーは、いままで自分が作り上げてきた表現から、自分から踏み出すことを選びました。なによりその勇気に敬意を捧げます。
もちろん、世界選手権に向けて、プログラムを修正する必要はあると思います。失敗がリカバリーできる構成になっていてこそ、安心してクワドにも挑めると思うし。いまのプログラムは、わりとキチキチなので、救済のセカンドジャンプを入れる隙間がなかったりするしね。そこは、直したほうがいいと思うけど。
今回の敗戦から立ち直って、東京で表彰台に絡んでくるジョニーがぜひ見たいです! いまは苦しいかもしれないけど……頑張れ!
ヨーロッパ選手権の演技も見られたので、感想を書こうと思ったのですが、ちょっと力尽きました……。また今度書きますね。




真面目に演技の感想を書いたあとでなんなんですけど、すごくくだらないこと書いていいですか?
全米選手権のバックヤードに置いてあるソファが! ベージュの生成りですごく大きくて長身のエヴァン君も悠々寛げちゃってて、すごく素敵だったの! スプリングのかんじもやわらか過ぎない感じだったし! あれ欲しい!
まあね。日本家屋には入らないだろう巨大サイズでしたけどね。いわんや灰原家をやですよ。とほ。
エヴァン君がくつろいでいるのはカッコよかったけど、キャロライン・ジャンちゃんが座ってるときは、ソファが大きすぎてキャロラインが小さすぎて可愛かったです。あの子、カメラが写してないときにソファの上で跳ねてたわね。間違いない!
滑り終わったあとの選手のために、座り心地のいい巨大ソファを用意しちゃうあたりが、アメリカっぽいですよね。





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