みなさま、ご覧になりましたか、今日の箱根駅伝往路!
灰原は観ました。観て良かったなあ! 観なかったら、一生後悔したと思う。
日本独特の陸上競技として、大正時代から行われてきた駅伝。オリンピック正式種目入りを目指して、国際ルールが定められております。すなわち、フルマラソンと同じ距離・42.195キロを、6人の走者で走りきるというもの。
駅伝のワールドカップと言われる国際千葉駅伝も、国際ルール準拠です。日本以外の陸上競技界においても、現在、このルールに従って、駅伝競技が催行されています。
42.195キロを6人、それが駅伝だというなら、その5倍近い距離……217.9キロを10人で走る箱根駅伝は、「駅伝」ではないのです。トラック競技の最長距離・1万メートルをはるかに超えた、平均して約20キロもの長距離を、歯を食いしばって走りきった彼らの記録は、正式な陸上競技のレコードとしては認められることがない。ただ、箱根の山に刻まれるだけです。
なんたる無為な情熱!
ただ、箱根のために、それだけのために、極限を超えていく学生さんたちの姿に……だけど、なんだか、惹きつけらるんだよなあ。
競技として整備される以前の、素朴で荒々しいスポーツの原型と、「ひとりはみんなのために! みんなはひとりのために!」……自分の記録のためだけでなくチームのために走るチームスピリッツを、箱根は、見せてくれるかもしれません。
本日の箱根駅伝往路は、近年に珍しく大荒れの展開となりました。
チーム間の実力差が接近し、コースも分析されつくした最近の箱根では、基本的に、堅実なチームが優勝してきました。飛び道具のように速い1人の天才に頼るのではなく、全員が少しずつタイムを上げていく、という方式ですね。昨年総合優勝の亜細亜大学なんてまさにそうで、「大学陸上界のスター」と言われる選手は誰ひとりいなかった。けれど、鳴り物入りのスター選手たちが、体調不良やプレッシャーなどでつぎつぎ自滅していく中、たんたんと走りつづけた「雑草魂」亜細亜が、最終的に栄冠を勝ち取りました。今年も、復路は、そういうレース展開になるかもしれない。
しかし、ここ数年、というか、正確に言えばここ2年の往路は、ですね。「近代的な、リスクの少ない戦略では勝てない」という認識のもとに、優勝を目指す各校は、オーダーを組んできていたような気がします。今年の東海大学は、エースふたりを1区2区につぎ込み、圧倒的リードを握って先行逃げ切りを狙った奇策を打ち出してきましたが、前述のような認識によるものだと思われます。
なぜ、「近代的な戦略では勝てない」のか?
……それは、箱根の山に「神」がいたからです。「天才」という枠すらも超えて、異能に等しい山登りの適性を持つ、「箱根の神」今井正人が順天堂大学に存在したからです。
ここ2年間の箱根駅伝往路は、事実上、いかに、山登りの神・今井正人を封じるか、という部分に、各校とも戦略の比重がかかっていました。今井の非常識な天才のまえには、「ひとりの天才に頼らず」「ブレーキを予防するためオーバーペースをつつしみ堅実なレース運びを目指す」なんぞというお題目は、ティッシュペーパーみたいに消し飛んでしまいます。
今井正人の異能がはじめて顕現したのは、3年前、2005年の箱根往路5区でした。標高差775メートルの往路5区。高低差とともに、温度差、気圧差、なにもかもが選手を苦しめる。レース中もっとも過酷と言われ、随一の陸上エリートであるはずの箱根出場選手誰もが走りきるだけで精一杯のこの5区で、今井は、2年生にして11人抜きという偉業を成し遂げます。残念ながら、往路優勝の東海大にはわずかに届きませんでしたが、平地を走るのと同じフォームで、他校をつぎつぎと抜きさって行く今井のスピードは、見ていても信じられないほどでした。
そして、今井の箱根2年目。去年の駅伝です。今井はまたしても5区にエントリー。ダークホースであった去年と違い、今井はすでに他校のマークの対象でした。しかも、今井は、秋に足を負傷し、箱根にはぎりぎりの仕上がりで出場だった。初年度、彗星のように登場し記録を作った選手が、2年め、他校のマークに、そして自身のプレッシャーに潰され、ブレーキを踏むところを、灰原は何度も見たことがあります。事前情報は、今井に「2年目のジンクス」が襲う予兆をあらわしているようにも思えた。
……勘違いだったんですけどね。
ミゾレまじりの悪天候の中登場した今井は、6位でタスキを受け、山登りに入るやいなや5人の選手をゴボウ抜き。故障あけだなどとは少しも感じさせないスピードで、誰よりも先にゴールに飛び込みます。
2度の激走によって、その異能がマグレなどではないことを、天下に知らしめた今井正人。今年の5区は、「箱根の神」が箱根を走る、最後のレースだったのでした。
東海大学の2年生エース・佐藤悠基選手の、いきなりの飛び出しに始まった1区。予想を超える好走をした佐藤選手を、追走したのは東洋大学のみ。他18校は、互いに牽制しあいすぎためにタイムが伸びず、結果的に1位と3位グループの差は4分、距離にして1400メートルも開いてしまいます。正直にいってこの1区、3位以下のチームはレース戦略に失敗してると思います。(解説者のみなさんが総じて「なぜ前を追わないんだ!」「牽制しすぎだ!」とプリプリ怒っていたのが面白かった)
1区2位、途中まで東海大学に追走し、ほどよいところで自分のペースに戻した東洋大学は、非常に賢いレース運びをしたといえるでしょう。佐藤選手は、日本学生界で1位2位を争う中長距離のスター選手ですので、いつまでも意地張ってくっついてったら、逆にオーバーペースで崩れたと思うので。灰原的区間賞は、1区は東洋大かなあ。
もちろん佐藤悠基選手も頑張りました。「できるだけ順天堂大学に先行して5区にタスキを繋ぐこと」……至上命題を果たすべく、18キロ付近で足に痙攣を起こしながらも根性で頑張った。素晴らしいレース運びだったと思います。
2区でドラマを作ったのは、山梨学院大学の留学生、モグス選手でした。先年急逝された尊敬する先輩・オツオリ選手の弔い合戦として、レースに力の入っていたモグス選手、「エンジンが違う!」と思わせる激走で先行選手をゴボウ抜きし、11位から2位に順位を上げます。このまま区間新かと思われましたが、なんと、残り1キロ地点でモグス選手の足がいきなり動かなくなってくる! 猛烈なブレーキです。抜いたはずの選手たちにつぎつぎと抜き返され、結局6位でレースを終えました。6位でも5人抜きですから充分立派なんですけど……やっぱり悔しかったね。倒れこむように入った戸塚中継所、歩けなくてチームメイトたちに担ぎ上げて運ばれながら、吼えるように号泣したモグス選手。オツオリ先輩のためにも、来年も頑張って!
2区区間賞は早稲田の竹沢選手。古豪復活の予感がありますねー。解説者のひとり、瀬古さん(早稲田大学出身)が、竹沢選手を追っていた第3中継者のアナウンサーに「もっと竹沢を応援して欲しい!」と興奮して要求する一幕もあり。伝統の一戦へ、OBたちもヒートアップです。
……さてさて、長くなりましたので、例によってここで分割します。
つづきは「走神伝説・その2」でお読みください。
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