1月も下旬。

三学期も少しは落ち着いてきたでしょうか。

 

小学校では今月は「お正月遊び」を取り入れているところが多いと聞きます。

是非、ご家庭でも遊んでみてください。

 

拙著より「お正月遊び」をお届けします。

 

 

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「母親偏差値(二)」第一章「遊び」より

「お正月遊びを」

 

 

海外に留学していた日本人大学生。ひとり旅をし、財布をすられ現金を失いました。その大学生は、しょげかえったり嘆いたりはしませんでした。ターミナルの人混みで、持っていたコマでワザを披露。小学生の時ひたすら練習した「肩かけ」「腰かけ」「大車輪」「世界一周」。やんややんやの喝采で、小銭をたんといただき無事に大学の寮まで戻ったということです。芸は身を助く。「生きる力」を持つことは大きな「財産」になります。

 

年の初め。初日の出・おせち・初詣・お年玉。お正月はこどもたちにいろいろな体験を積み重ねます。

凧揚げ・コマ回し・けん玉・羽子板。百人一首・かるた・福笑い。お正月には日本の伝統的な遊びを。さあ、やりましょう…と言っても、経験がなければできるものではありません。初心者には難しいものです。凧は走りながら、ズリズリ引きずってしまいます。コマは、紐の巻き方すらままなりません。けん玉は、何度もやって、ようやく大皿に乗るかどうか。羽子板は、少しはできますが、羽がまっすぐ飛ばないので続きません。この状態だと、おもしろさはわかりません。凧は糸を操り空に揚げ、コマやけん玉はいろいろな技ができるようになり…すると、おもしろい。とてもとてもおもしろい。こどもって遊ぶことが大好きです。凧を渡せば、風に乗せて高く揚げることができるようになります。コマを渡せば、紐に乗せて回せるようにもなります。できなかったことができるようになるばかりか、とっておきに難しいことまでやり遂げるのです。

 

昭和の時代に小学生だった世代なので、その頃はまだ「家の裏の空き地」がありました。そこに毎日のように弟たちと一緒に出かけ、凧揚げにハマっていた時期があります。凧を作る時から慎重に、きちっと計って慎重に切り取って。少しでも狂うとうまく揚がりません。揚げてみて右にグルグル回ると、走って帰って微調整して、また走って空き地に行って揚げるという繰り返し。ついに高く高く揚がった凧は小さく小さくなっていき、胸がすき、得意げな気持ちになります。けれども、せっかくの凧も上空で糸が切れて、飛んでいってしまうこともしばしば。自分でも残念な気持ちでいっぱいなのですが、横で泣く小さな弟を励まして「また作って、またあした来よう」と夕暮れ時に帰ります。

 

我が子が幼稚園の時に「凧揚げ大会」がありました。こどもたちは皆、自作の凧を持って河川敷で園外保育。おかあさんたちも呼ばれて、凧揚げを手伝います。大人が凧を持ってあげて、こどもが走る。バタバタバタと走る。けれども凧が浮かんでいるのは、その時間だけ。

すっかり忘れていた幼少期の凧揚げ経験が生かされる機会が突然にやってきました。二十年以上経っていましたが、もちろん、走らなくてもひとりでクイクイ揚げられます。高く揚がる凧に、こどもたちが集まってきます。「やってみる?」と聞いて「うん!」と答えた子はひとり。他の子はおっかなびっくりです。

そっと凧を渡しましたが、凧は傾き落ちかけます。そこで糸を操るのです。すると復活するのです。その方法を伝授します。その子はあっという間に上手になりました。なんとか落ちないようにこらえています。すると、固唾を飲んで見守っていた他の子が「オレもやりたい!」と言ってきました。その声で、やりたい子が次から次へと集まってきます。幼稚園のバスのおじさんが大活躍。とても上手で、手分けして揚げて順番に渡してあげました。空いっぱいに広がるいくつもの凧。青い空に色とりどりの模様が浮かびます。自分で絵を描いた自分の凧が空にはためき、こどもたちは笑っています。50cmほどある凧が、冬の澄んだ青い青い遠い空に豆粒のように見える時、その経験は貴重な糧となるのです。

 

やったことがなければできない。やってみればできるようになる。

そして「できる」という事象だけでなく、知らなかった青くて高い空を知る。

 

「母親偏差値(二)」第一章「遊び」より

「お正月遊びを」

 

 

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「著書を読んで、凧揚げをしてみました!

風がなくて上手に揚げることはできなかったけれども

冬の空がキレイだということを、息子と凧を持って原っぱを駆け回って初めて知りました。

ありがとうございました。」

 

…と、嬉しい言葉が届きました。

 

 

寒い毎日に

温かな。

 

 

 

 

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「母親にも偏差値があった?」…「母親偏差値(二)」がアマゾンにて発売中です。今回はこどもを豊かに育て心を育むためのテーマを集めました。こどもの生活を占める「遊び」と「勉強」、「経験」から得ること、「四季」を感じることの大切、の4項目についての考察。そして、主に親が自身を振り返る場面を集めたエッセイが掲載されています。


子育てにおける、参考にしたいこと・やってはいけない事例などが「偏差値」という目に見えるスケールで表現され、読者が自身で「気づき」を得ることができる内容となっております。「母親偏差値(一)」とあわせてお読みください。(編集)

 

母親偏差値2 母親偏差値1

 

 

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