息子よ、保育園の先生から聞いたぞ。父の日のプレゼントに父さんの似顔絵を描いてくれたんだって? もしかしてお前が大事そうに抱えているソレか? それがそうなのか? どーなんだ? そーなのか? え? どーなんだよ。


とにかく見せなさい、いいから見せなさい、早く父さんにみせなさいって。と、息子の抱える絵を奪い取り、天高く掲げながら仰ぎ見る。


こ、これは・・・・ ちゃんと目だってわかる・・・ 素敵なくちびるもある・・・ 去年はなかった鼻もついてる・・・ 息子よ、お前天才だな。


こんな衝撃父さんはじめてだ!! これはどういった派に属するんだ? 印象派か? 父さん印象派がどんな派なんだか知らないが言葉だけは知ってるんだ。


まあそんなことはどーだっていい。ありがとうー息子! ありがとー息子! 父さんこれを一生大事にするよ! さっそく通販で額縁かうよっ!


その前に聞かせておくれ! お前の口から聞かせておくれ! これは誰を描いたんだい? このナイスガイは誰なんだい? ん? よくきこえないぞ! ハッキリいっておくれ! さあいっておくれっ!!


カエル? おや? カエルってなんだい? 父さん今カエルってきこえたぞ。息子よ、お前の口の中にギッチリ詰まっているその幼児用エビせんを早く飲み込んでもう一度言うんだ。


ん? なんだい? カエルかい? そうかい、やっぱりカエルかい。保育園の先生にお父さんの似顔絵を描きましょうって言われなかったかい?


うんうん、言われたんだ、言われたんだね。そうだよね、父の日のプレゼントだもん。そりゃ先生だってお父さんの似顔絵描こうって言うよね。それなのにお前はカエルを描いたんだ。そーなんだ、そーなんだ。


おー のー