それは、秋の始まりを感じる肌寒い午後のことだった。
かなり前から気になっていたことを、なぜか夫はこの日、話し始めた。
口火を切ったのは夫だった。
「おい、これから先どうするか・・・。」
私は無言で下を向くしかなかった。
わかってる。わかってるよ。でもどうしたら良いのかなんてわからない。
「4月に借りた教育ローンもう終わるぞ・・・。」
夫がぼそりとつぶやいた。
子供たちが進学し、意気揚々としていた春。
あれよあれよという間にお金が消えていく。
入学金、学費、制服代、教科書代・・・
特に贅沢をしているわけではなかったけれど、
二人分の入学準備には予想以上にお金が必要だった。
銀行で教育ローンを組んだ。
3年間で300万円の契約。一人分の学費が大体3年間でそれくらいだったから。
契約金額も深く考えずに契約した。
ところが、1年経たないうちに教育ローンは消えた。
支払いは、卒業後からでいいので、当座のお金が必要な時にそこから引き出していた。
教育ローンをブランドバックとか、旅行とか、贅沢なものに使ったわけではない。
ちびりちびり と減っていったのだ。
「このままだとまずいぞ。」
「うん分かっている。」
あの、優しい光に包まれた春の日差しとは違って
寒々しい木漏れ日がわたしたち夫婦を包んでいた。
