☆涙のステップ : 須藤薫 1982
ドリーミーでオールディーズチックなシティポップの旗手として1980〜90年代を駆け抜けた歌姫須藤薫をご紹介します!
彼女は1979年に♫やさしい都会 でデビュー。作詞を手掛けたユーミンに制作中のアルバム「SURF&SNOW」のコーラスに抜擢された。
B面3曲目のアルバム代表曲♫サーフ天国、スキー天国 のイントロで聞こえるあの特徴的なコーラスの声は紛れもなく彼女の声だ。
1980年にデビューアルバム「シェフズ スペシャル」は杉真理と松任谷正隆が全面的にサウンドプロデュースを手掛けたが、アメリカンポップスのテイスト色濃く以降、そのカラーは変わらなかった。
このアルバムには大瀧詠一も曲提供しておりプロデューサーの松任谷とは意気投合し、この直後の「A LONG VACASION」のストリングアレンジの仕事に繫る。
曲の方は♫あなただけI LOVE YOU でストリングアレンジは松任谷が手掛け、ドラムスはなぜか突然、つのだ☆ひろが務めた。
因みに大瀧はこの曲の作詞も手掛けている。
続く形で大瀧は注文が殺到していたCM曲の仕事の中でも一際印象深い♫レモンシャワー でも須藤にヴォーカルを指名。
短い曲の中で千変万化する難曲♫…酸っぱい〜スパイ へと繋がる糸井重里の詞を須藤も見事に表現してくれた!と満足気であった。
本日紹介の♫涙のステップ は3枚目のアルバム「アメイジング トーイズ」A面3曲目のナンバーで正に胸キュンの悲しいやつ(スーパーヴァイザー朝妻一郎が嘗て大瀧に投げかけた言葉)の極致で、曲は杉真理が担当。
杉お得意のオールディーズチューンが須藤の声質、キャラクターに実にマッチしている。
須藤はデビュー時から杉とのタッグを組んできたが1980年代半ばからその手を離れ様々なクリエイター達とアルバムをリリース、安定期に入っていくが、結婚、出産等の影響から1993年に一旦活動中止を余儀なくされる。
そしてその後もソニーレコードや杉らからの熱いラヴコールを送っていたが須藤は復帰を固辞し続けていた。
1998年に「杉真理パワステ最後の日」ライブの時に再度杉から誘われ、一晩限り…と言うことで舞台に立った須藤に心境の変化が起こり、それを機に本格復帰を果たした。
1999年にはその第一弾「ロマンティック天国」名義は須藤薫&杉真理であり、実にご機嫌なナンバー3曲が入ったミニアルバムだった。
特に2000年にリリースされたシングル♫最後のデート〜Last Rendevots は♫涙のステップ 以来の出色の出来である。
2012年3月最後のアルバムとなった「恋愛同盟」には♫涙のステップ のリバイバルVer.が録音されたり当時はまだ話題性に欠けていたがサントリー角ハイボールのCM曲としてすっかり定着した杉真理の最高傑作♫ウイスキーがお好きでしょ の初めてのカバーも収録された。
80年代後半に石川さゆりへの提供曲として当時はサントリーウィスキー クレスト12年のCM曲として当時話題にはなったが以降は忘れられた名曲と化していた。
2013年3月3日 MDS(骨髄異形成症候群)と言う白血病の一種でこの世を去る。
享年58歳。
しかし、最後のアルバム「恋愛同盟」での彼女の声は既に病魔に冒されていたらしく、嘗てのような高音が出なくなっていた。
それを思うとこのアルバムは最後の彼女からのメッセージだった。
アルバムリリースから丁度1年のタイミングで亡くなってしまったのが本当に返す返すも悔やまれる。
唯一無比の和製ポップシンガーの余りにも早すぎる死であった。
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