1996年
3月
インド
アーグラー
慌てて片乳彼女が部屋から出て行くと
宿オヤジは部屋の説明をし始めた
シャワーの蛇口は2つあるが、どちらも水しか出ないとか
詰まるからトイレで紙を流すなとか
部屋が気に入ったら、あとでパスポートを持って宿帳を記入しに来いという
どうでもいいから
早く部屋から出てくれ!と思った
ようやくオヤジが出て行くと
おれはベッドに倒れ込む
ばふっとフェロモンが拡がる
下腹部がズキューン!と熱くなっていく…
フトンの中へもぐり込むと、まだぬくもりが残っていた
しばし
片乳彼女の顔とおっぱいを思い出しながら
彼女の汗と体臭の染みついたフトンの中で、のたうち廻る
ふと思う
「……こういう変態小説あったよな?」
田山花袋の「蒲団」
あらすじ
女のフトンにもぐってむせび泣く変態オヤジの話
初めて読んだとき
「うわーっ変態じゃん…」ってどん引きしたおれが
いつの間にか小説の主人公に…
床に落ちていた枕を
フトンの中から
そっと手を伸ばし
引き込む
変態ひとり…
堪能した
変態
宿を出て散歩に出掛ける
変態
宿を出て散歩に出掛ける