M社の国語の教科書には、セヴァン・スズキさんのスピーチが掲載してあります。カナダの環境問題活動家ですね。彼女の亜流と言ったら失礼ですが、グレタ・エルンマン・トゥーンベリというスウェーデンの環境活動家がいます。もう20歳くらいになりますが、15,6歳くらいから活動を行ってきたので「少年活動家」のイメージがあります。
今、地球資源は枯渇に向かい、環境破壊と相まって破滅の途をまっしぐらです。再生可能エネルギーの利用やエコな自動車の開発などが急加速はしていますが、なかなか改善にはつながっていかないのが現状のようです。
数年前、米ニューヨークの国連本部で開かれた「気候行動サミット」で、16歳のグレタさんの演説が話題を呼びました。グレタさんは若い世代の代表として、
「あなた方は、私たち若者に希望を見いだそうと集まっている。よくそんなことが言えるものだ」
などと強い言葉で各国の取り組みの遅れを批判しました。
でもね、みなさん。私は彼女の演説を聞いて狡猾だなと思いました。彼女は「子ども対大人」という構図をセヴァン・スズキさん以上に巧みに用いました。演説は環境問題が目的なのか、大人批判が目的なのかがわからないくらいでした。もはや、地球規模の問題を問う時、「大人だ、子どもだ」などとは言ってられないのですよ。私はそう思います。
アメリカのニュースキャスターが、グレタさんの最近の演説を流した後にこうコメントしました。
「気候変動デモをやっている学生たちに言いたいことがある。すべての教室にエアコン設置が義務付けられたのは君たちの世代からだ。全室にテレビを欲しがり、各教室にはコンピュータが備わってある。電子機器なしには朝も夜もなく、歩きや自転車での登校なんて、もう君たちの誰もしたがらない。送り迎えの車が列をなし、郊外の道をふさぎ、ラッシュアワーを悪化させている。キミらの世代ほど大量工場生産品を消費する者もいない。トレンディーであるために最新で完璧な高級品を求めている。君らのエンタメも電子機器から発信されているね。さらに言わせてもらえれば、キミらのデモを扇動しているお仲間こそ移民政策を通して人口の爆増を推進しているわけだけど、それにはより一層の資源、生産、運輸が不可欠だ。人口が増えればその分だけ土地を活用するために、森林を伐採し国土を切り拓く。つまりは環境が破壊されるわけだ。
だからさ、こういうのはどうだ? 先生にエアコンを切るように言ってくれ。登校は歩きか自転車にしよう。電子機器は使わず本を読もう。既成のファストフードもダメだ。サンドイッチを自分で作ろう。でもやらないだろう? 誰もやらない。なぜなら君たちはトンチキ教育を受けた。自分勝手で自己賛美と他罰に忙しい。馬鹿げてる。かつてないほど恵まれた西欧文明と上等の生活に身を浸しながら、『高貴な使命』に陶酔してる……。そんな大人たちに影響されているんだ。目を覚ませ。成長しろ。もう口を閉じろ。」
『大人なんだから、若者の言うことにそう目くじら立てるなよ』と、確かにそうも思います。でも、キャスターの言い分もよくわかります。一つ確実に言えるのは、いずれにしても環境問題の解決には、もうそうゆっくりとした時間がないということです。
今年の夏も、実に暑かったです……。