みなさんは小学校2年生の時、説明的文章「たんぽぽのちえ」の学習をなさいましたか? 大手教科書会社のM社さんが教科書に掲載してからもう40年を超しますから、M社さんの教科書を用いていたかなり多くの方は御記憶にあるものかと思います。
私は中学校の教員をしていますが、先日、久しぶりに小学校の教科書を見る機会がありました。何気なく頁を繰って「たんぽぽのちえ」の挿絵を見た瞬間……、
唖然! 呆然!! 茫然!!! 愕然!!!!
頭がくらくらしました。
タンポポは、日本においてごく普通に目にすることのできる野花の一つです。でも、同じタンポポでも、在来種のタンポポと外来種のタンポポがあることをみなさんは御存じでしょう。現在の日本の国土には、在来のタンポポ(ニホンタンポポ)と外来のタンポポ(セイヨウタンポポ)が混在してしまっています。
在来のタンポポは15種あるそうです。一方、外来のタンポポにも当然種類はあるのでしょうが、日本ではそれらを全てひっくるめてセイヨウタンポポと呼んでしまっています。その理由は、おそらく「ブラックバス」や「アカミミミシシッピガメ」等と同様に、外来種が在来種を駆逐してしまい、日本の自然や生態系を乱してしまうことを忌み嫌ってのことだろうと思われます。少しの例外もあるようですが、多くの場合、花の下の緑色の部分(外総苞片)が反り返っているものが外来のタンポポ、反り返っていないものが二ホンンタンポポと考えて間違いはないそうです。
ところがです!! 教科書の挿絵のタンポポの外総苞片はどれもが反り返っているではありませんかっ!? 日本語を身に着けるための国語の教科書において、どうしてあえて「セイヨウタンポポ」の挿絵を用いるのでしょうか?
「今やセイヨウタンポポの方が一般的だから?」
「これほど外来種にやられてしまっている日本の自然に危機感を持ってもらうため?」
今や「たんぽぽのちえ」も危機に瀕していますな。