「外来語に関する素朴な問題」 | はぐれ国語教師純情派~その華麗なる毎日~

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国語教師は生徒に国語を教えるだけではいけない。教えた国語が通用する社会づくりをしなければ無責任。そう考える「はぐれ国語教師純情派」の私は、今日もおかしな日本語に立ち向かうのだ。

 日本語は「和語」「漢語」「外来語」の3種類に分類できる(まあ、さらに「混種語」というのもあるけど、ここでは深入りしない)。

 外来語がなければどれだけ不便かということは、言を俟たない。だが、この「外来語」にもいくつかの問題がある。今回はそうした中の2点について考察してみよう。いろいろな例を列挙していくことになるが、どうかお付き合いいただきたい。

 野菜のセロリ。私はこれを普通に「セロリ」と発音するが、スーパーに行くと、時々、「セルリー」と表示してあることがある。ロシアの首都は「モスクワ」だと習ったが、時々、インテリっぽい人が「モスクワ」を「モスクゥ~」と発音しているのを耳にするときがある(確かに、カクテルに「モスコミュール」というのがあるが、これを誰も「モスクワミュール」とは言わない)。こうしたことが、私が指摘したいことの1点目だ。

 「外来語」は「日本語」なのである。その元は外国語であった点は間違いない。だが、その外国語の発音をもとにして「日本語」となった以上は、何もことさらに元の外国語の発音に似せた発音にする必要はない、私はそう考える。

 テレビでスポーツ番組の中継をしている。アナウンサーと解説者の会話が展開している。

 

アナ 「解説の山下さん、ここまでの両チームを御覧になって、いかがでしょうか?」

解説 「さすがに決勝戦だけあって、両ティームとも実に素晴らしい仕上がりですね」

アナ 「今日は、歴史の残る一戦として、スタジアム各所に、沢山のカメラマンたちがその決定

   的な瞬間を逃すまいとスタンバイ中です」

解説 「いやあ、本当にすごいキャメラの数ですね」

 

 私は、「ティーム」だの「キャメラ」だのという「外来語」以前の発音をあえてする人たちの気が知れない。必要があるのだろうか? お風呂の「バス」と乗り物の「バス」は不便だけどそれでもいい。どうか「外来語」の中に「th」の発音を入れようとかしないでいただきたいものだ。紅茶の「ティーパック」と下着の「ティーバック」も不明確で結構だ。ダメだろうか?

 下着の話が出てきたので2点目に話を移そう。「パンツ」のこと。今、日本の社会では、この曖昧な「外来語」を阿吽の呼吸で使い分けている。

 

「パンツ」(アクセントは「パ」)」→「下着」

「パンツ」(アクセントは「ツ」)」→いわゆる「ズボン」

 

 凄いよ、日本語!! この曖昧さまでを許容してしまう度量の広さ! 日本語、大好き!