「地方アクセント」 | はぐれ国語教師純情派~その華麗なる毎日~

はぐれ国語教師純情派~その華麗なる毎日~

国語教師は生徒に国語を教えるだけではいけない。教えた国語が通用する社会づくりをしなければ無責任。そう考える「はぐれ国語教師純情派」の私は、今日もおかしな日本語に立ち向かうのだ。

 ある日、中学校2年生の国語の授業を参観する機会がありました。漢詩の授業で、若い女の先生の授業でした。生徒たちも一生懸命でとても活気のある授業でした。

 

先生「カーテンの向こうには、何かが光っている……」

私 (……?)

 

先生「今日は、漢詩の勉強の続きです」

私 (う~ん)

 

先生「漢文には、どんなルールがありましたか?」

 

先生「李白はどんな気持ちだったのかな?」

 

 先生がお話をするたびに、私は違和感を覚えるのです。音読練習が始まりました。李白の「静夜思」

を先生の範読に続いて一行ずつ生徒たちが読みます。

 

  牀前(しょうぜん)月光を看る

  疑う(うたごう)らくは是地上の霜かと

  頭を挙げて山月を望み

  頭を低れて(たれて)故鄕を思う

 

先生「せいやし りは

生徒「せいやし りは

   ・・・・・・・

先生「こうをあげてさんげつをのぞみ」

生徒「こうをあげてさんげつをのぞみ」

先生「こうをたれてこきょうをおもう」

生徒「こうをたれてこきょうをおもう」

 

 驚き!! 生徒は先生と同じアクセント、同じイントネーションで読むんだ!! 方言は大切な地方文化です。でも、それは「共通語の発音との区別がつけられないこと」とは次元が別です。ああ、国語教師には責任がありますね。

 

【補足】共通語のアクセントは、「ア」と「イ」のどちらですか?

 

(1)「カーテン」

  ア kaːten    イ kaːten 

(2)「漢詩」

  ア kanshi    イ kanshi

(3)「ルール」

  ア ru ːru    イ ru ːru

(4)「李白」

  ア rihaku     イ rihaku

(5)「頭(こうべ)」

  ア koube     イ koube

(6)「故郷」

  ア kokyou     イ kokyou

 

 さあ、自信はありますか? 正答は、以下の通りです。先生、全部違っていました。

 

(1)ア (2)イ (3)ア (4)ア (5)ア (6)ア