”命を懸けた反戦デモ「独裁者はいつも『生存圏』や『自国民保護』という美名の下で戦争を始める」”

数日前に、ロシアの側の論理に立ってテレビ東京のモスクワ支局長の豊島さんのレポートを取り上げました。 ↓

プーチンの立場を理解しようと言うレポートですが、それはそれで納得のいくものですが、それを肯定したうえで、改めてプーチンとロシアを考えると、その後のブログでも、言及していますが、プーチンは生きている時代が古いです。ナポレオンとヒトラーとを考えて、ウクライナを支配下に置くのは、時代錯誤の感性ですね。ロシア国内で「戦争反対」のデモが起き、1400人ぐらい拘束されたと言っていますが、ロシアも、チャイナと同様に「近代国家」の壁を越えられませんね。

領土を取ると言うのは、その先に何があるのか。それはつまりプーチンの言うことを聞く政府を作らせることになるのでしょう。なんのためにウクライナを攻撃して占領して支配するのか。

東欧の歴史を私はすくなからず知っています。ハンガリー動乱、これは印象的でした。

 

プーチンの考えは、ハンガリー動乱と同様の事への対処であり、また「プラハの春」も1960年代に起きた事件です。この時もソビエトの戦車が侵攻しました。

結局、レーニンからスターリンへと、そして第二次世界大戦のドイツとの攻防、その論理を今も持ち続けているわけです。

ハンガリーやチェコスロバキア、ルーマニア、ポーランどなどがソビエトを離れて、最後はユーゴスラビアでした。東欧の共産党の支配が崩れいていった時代が20世紀の後半に押し寄せて、ベルリンの壁の崩壊とソビエトの解体につながるわけですが、プーチンはその流れを進める側でなく、抑える側にいて権力を掴んだ人だから、戦略には長けているだろうし、策士でもあるだろうが、真の解放者・革命家ではない。

 

もともと、ロシア革命も、中国の辛亥革命も、共産主義に著って「不成功の近代革命」に終わっていますから、過去の栄光を求めると、「近代社会」にはなれないんです。東欧の国々は、それでも近代革命を遂げたフランスやドイツと近かったので、『自由』の果実を知りえたのです。でもロシアのツアーリズムはチャイナの東洋的専制と同じで要素を持っていて、経済史的にみても、大農場経営、領主経営で自由農民がおらず、農奴的な農民が縛られていた。

チャイナもロシアも根は同じところにあって、プーチンも習近平も歴史の流れから逃げ出すことができないのです。

アメリカが、プーチンに味方した。チャイナの仕掛けたトランプ降しが、プーチンに有利に動いた。ウクライナと言うのは、悲しいかなヨーロッパからみたらスラブ圏なんで、ロシアの枠の中での戦いに見えるだろう。助けるメリットも積極的には見つけられないのだ。今回、東部の工業地帯をプーチンは抑えた。西欧からみて、ロシアの工業がどれだけ魅力的かと言えば、どうでしょう。

小室直樹氏がカッパブックで一連のロシア帝国の崩壊を書いているが、「ロシアの悲劇」を1991年に書いている。「資本主義は成立しない」と副題が付いている。

本質のテーマはそのことに尽きる。この場合の資本主義は「近代」資本主義の事です。

つまり、「今以上に発展することができない」と言うことになる。

ロシアがウクライナを支配して、手籠めにしても、ウクライナ人はロシアの為には働かない。ロシアと言う国に失望するだけだ。

 

人口 146.17 (100万人) 9位 (193ヶ国)

失業率  5.78(%)   69位(106ヶ国)
統計名称    値       世界順位     年  
国際競争力  66.74(指数)   43位(141ヶ国) 2019
平和度     2.99 (指数)     154位(163ヶ国)2021
経済play_circle_filled 経済の詳細
統計名称                                       値                    世界順位                  年
名目GDP(USドル)                  1,478.57(10億USドル)  11位 (193ヶ国) 2020
一人当たりの名目GDP(USドル)   10,115.35(USドル)    64位 (193ヶ国) 2020

貿易play_circle_filled 貿易の詳細
統計名称    値          世界順位       年 

貿易輸出額  332.23 (10億USドル) 16位 (191ヶ国) 2020
貿易輸入額  240.38 (10億USドル) 21位 (191ヶ国) 2020

財政play_circle_filled 財政の詳細
統計名称              値     世界順位         年
政府総債務残高(対GDP比) 19.28(%)  177位(190ヶ国) 2020
外貨準備高     596.77(10億USドル) 5位 (148ヶ国))2020

(世界の経済ネタ帳より)

ちなみに韓国

名目GDP(USドル)  1,638.26(10億USドル) 10位(193ヶ国)    
一人当たりの名目GDP(USドル)   31,638.46(USドル) 28位(193ヶ国)

軍事力で、大国であって国民の豊かさは、韓国の3分の1というレベル、中国と大差ない。

プーチンは、ウクライナの非武装・中立化を打ち出してきたが、侵攻する前にNATO側と協議もできただろうに。
しかし、武力を簡単に行使すると言う現実を世界に見せた。ロシアのプーチン神話も崩れるのではないか。ロシアの国民は19世紀の体制から逃れたいと思っている。彼等も西欧とおなじように暮したいと願っている。ソビエトの時代に戻りたいのか?
プーチンは見誤っているとしか、私には思えない。
チャイナもそうだけど、中華圏を形成するのは良いけど、そこに未来があるのか?
ロシア圏を形成するのもよいけど、そこに未来があるのか。
共通する現象は、「自由」の歪な存在だ。
ロシアも「ソビエト教」から抜け出られないんですね。
「英国病」と言うのが一時言われました。しかし、大英帝国を求めずに、過去の支配下エリアがそれぞれに発展しました。イギリスは確かに「大」英帝国はなくなったが、エリザベス女王は敬愛を受けて英国は「英国」です。イギリスは歴史を受け入れているのです。
日本が「大東亜」を掲げた理念は、実現しています。戦争には負けても、理念は実現しています。
中国も、ロシアも何を求めているのでしょうか?プーチンンも習近平も、明確な「ビジョン」を持っていないんですね。唯々仮想敵を作り出して、自分の権力に執着するする姿にしか見えません。指導者を選挙で選ぶシステムは人類が作り出した優れた仕組みです。平和裏に指導者を交代させる。そこに文明の道具であるコンピューターをつかって選挙を操作する。これは人類への冒涜、歴史・進歩への冒涜です。
「悪の帝国」としての中華文明とロシア文明が地球上のある一定地域を支配しようとしています。人間も歴史的環境の上に継続しているので、地球上に「人類」が滅びるまで、続くのでしょう。
結局、その地域に生まれて、そこに住む以上、その地域の文明の中で生きていくか、違う世界に脱出するかです。
ロシアと中国の共通した事象は、資本主義に必要な階層「ブルジョアジー」を壊滅させたことで、知識人階層と官僚と労働者しか残らないから、経済発展の担い手がいないのです。曽いう意味では、近代資本主義をささえた「労働者」も誕生し損ねた、と言えるだろう。ロシアも中国も『信用』『ブランド』を作り出せないのだ。
 
ロシアもプーチン後、ウクライナ後遺症に悩むだろう。日本もロシアと言う国に対しての経済協力も後退するだろう。「怖い」から、避けて通る様になる。中国は、金のばらまきが出来なくなると終わる。『砂上の楼閣』の様な状況であり、ロシアの経済の停滞を招き、社会不安が生まれてくる。世界のロシアに対する見方が後退して、危険視されれば、経済発展に必要な交易環境が後退する。
 韓国と比べると、輸出額では16位だし、輸入は21位で、韓国の規模より小さいのです。
貿易輸出額  512.50(10億USドル) 7位(191ヶ国) 2020  

貿易輸入額     467.63 (10億USドル) 9位

ウクライナですが、

   

名目GDP(USドル)            155.30(10億USドル)    55位(193ヶ国)    2020    
一人当たりの名目GDP(USドル)     3,741.06(USドル)    118位(193ヶ国)    2020    
貿易
貿易輸出額     49.22 (10億USドル)   48位 (191ヶ国)    2020    
貿易輸入額     53.93(10億USドル)    48位

ロシアよりさらに経済活動は低いです。もともと農業国ですから、西側に対する生産国として発展を図りたいのと、もともとキエフはロシア帝国の発祥の地で、日本の京都の様な位置づけになるのかな。

   
   

 

 

 

   
 歴史の教科書にスキタイ人として出てきたが、陸地における東方社会で、遊牧民が先祖と言えるのかな。キエフの町もモンゴルに攻められたりしてる。ウクライナの歴史を背負ったウクライナ人ンが考えなければならないことだ。冷たく言えばそうなる。
プーチンはロシアの国に、不況をもたらすことと、ウクライナを手にすることとどちらが大事かとは考えなかったんでしょう。
小室直樹さんの本を読んでわかったことだが、人間が克服する課題として近代以降に背負わされている課題は、貧困と失業の克服なのだ。それがマルクス主義のテーゼであった。
しかし、マルクスは、それを暴力で変えようとした。
身分制度から解放がその前提になるけれど、一部の富裕者と多数の貧困者という構造は近代以前の常態であったが、近代資本主義が、唯一『中産階層』をつくりだして、大量生産・大量消費の時代を産み出し、マルクスのテーゼは、西欧が実現させている。
プーチンも結果としてマルクスの弟子であり、その結果、マルクスのテーゼを克服することはできないだろう。と言うのは、彼が掲げたテーマを平和裏に改革する理論、方法が呈示されていないからだ。ブルジョアジーを敵にして、その権力を奪っても、失業と貧困は克服されないことは、ソビエト崩壊と、現在進行中の「中華夢」の崩壊が物語る。
戦争をして儲けようとするのは、前近代的資本主義であり、持続可能な成長をもたらす『近代的資本主義』の実現には程遠い。