議事要旨は景気減速、インフレ圧力低下というが | 経済あらかると

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 FRBが昨日公表した6月のFOMC議事要旨によると、参加者は米国景気の減速を認め、インフレ圧力が低下している、との認識を示しました。これを受けて市場は長期金利の低下で反応しました。

 

 景気減速の材料は直前に集計された「ベージュブック」からの情報ですが、この日発表されたISM非製造業の6月分が48.8と、予想外の悪化を示し、アトランタ連銀の「GDPナウ」も2QのGDP推計値をこれまでの年率1.7%から1.5%に引き下げました。個人消費を1.5%から1.1%増に引き下げたことが主因です。

 

 米国のインフレが需要超過によるものなら、これらの指標は今後インフレ圧力の低下に作用すると期待できますが、実際のインフレ要因は、資源価格の上昇や住宅価格高(帰属家賃高)、賃金上昇、サプライ・チェーンの混乱などによるコスト高の面が少なくありません。

 

 FOMC参加者の声にも、5月のCPIは改善した一方で、PCE価格指数は改善が遅々としていて、今年、来年の2%目標達成は困難との見方が多くなっています。そして数人の参加者は、インフレが再燃するようなら、金利をさらに引き上げる必要があるとも述べています。

 

議事要旨を受けて市場は金利低下、ナスダックの上昇で反応しましたが、インフレの改善が遅れ、なかなか利下げ開始に至らないリスクは依然として大きく残っています。