物価のハードルがまた上昇 | 経済あらかると

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 4月までインフレのペースが減速してきたのですが、5月になってまた加速し、実質賃金プラスへのハードルが高まってしまいました。電気代の大幅上昇によるものです。

 

 総務省が本日公表した5月の全国消費者物価(CPI)によると、生鮮食品とエネルギーを除いた「コアコア」が前年比2.1%の上昇と、4月の2.4%から引き続き減速したのに対し、エネルギーの上昇で「コア」が2.2%から2.5%に、さらに生鮮食品も加えた全体では2.5%から2.8%に上昇が加速しました。

 

 そして5月の実質賃金や実質消費の計算に使われる「帰属家賃を除く総合」は、4月の2.9%から5月は3.3%に高まりました。名目賃金がそれ以上に増えないと、実質賃金はプラスになりません。ハードルが上がりました。

 

 内訳を見見ると、生鮮食品が前年比8.8%の上昇と、4月の9.1%に続いて高い上昇となりました。キャベツが72.8%高、りんごが31.3%高などとなっています。

 また電気代が4月の0.1%下落から5月は14.7%の上昇となりました。政府による激変緩和措置(前年比で0.48%押し下げ効果)はまだ続いていたのですが、再エネ賦課金が課せられたことで、電気代を押し上げてしまいました。政府の激変緩和措置は、6月、7月で段階的になくなるので、電気代はさらに高まり、物価を押し上げます。

 

 このため「財」の価格が4月の3.1%から5月は3.9%に加速しました。反面、サービスは1.7%から1.6%に減速しました。宿泊代が前月の18.8%高から14.7%に減速したためです。

 

 6月は食料品の値上げを計画する品目が多く、その上電気ガスの支援効果が半減する分、エネルギー価格が上がります。7月に残り半分がなくなって価格はさらに上がります。実質賃金のプラス化は容易ではありません。