何度も何度も、
悔しくてかぶりを降る。
あんな態度、
あんまりだって。

でも、
気が付いた。

もし、良い答えをもらっていたら、相手を知らないままだった。

こんなことがやれちゃうんだ、こんな風になっちゃうんだ。

装いじゃない本当の相手の世界を知りたかったんだ。
通常知る事が出来ないで来た一面が知れて、本当に良かった。
しかも、私は何を失ったわけでもない。
 
そう、本当は、こっちこそが、ギフトだったんだね。

 
知れるって、感性とのすり合わせが叶うということ。
そういう経験の積み重ねで、
自分の感度はこの世界に順応していける。

それが、これからの私を使っていく計器になる。
 
残り何年生きるか判らないけれど、
今まで培ってきたことを使って一番未来に届けたい何かを、この世界に、置いて行く。
それが、これからの私の人生なんだから、
喋れない、大混乱する、使えないできた心と体で延々下積みしてきた分、
これからが面白くなっていくところ!!
 

ああ、何とでも言ってちょうだい。
貴方に全否定されようとも、私は自分を誇れるよ。

私は、この私で申し分ない!!
  

  
内面の弱さを見えない様に、表面を綺麗に装うのが大人なのではない。
それは偽り。

内面の弱さを引き受けてなお、
外側から来るものを受け止められるよう、
表面をきれいに整えておく。
これが大人なの。
 
皮一枚の見分けがつくだろうか、
 分かる大人になりたい。 

安易なイミテーションはいらない。
どんなに時間がかかったって、
例え誰に見分けてもらわなくても、本物に咲きたい。
  
   

 
子を授かり、偽りの世界から足を洗ってから、
私はどれだけ自分の垢、嘘や偽りを落せるか、躍起になってきた。
日の当たる世界で気持ち良く咲き、
自分を好きになりたかった。
 
だから、
刹那的な匂いがした時、とても嫌だと思った。
 
 
酷い仕打ちをされたと感じたこと、
何が本当だったのか、今までの全てが偽りであったかも知れない事、
彼の生き方、在り方、
それに対する反発で、この様な強い気持ちが上がってきている。
  
  
こんな世界では生きていけない。
彼はどうして、真っ直ぐに、綺麗に、咲こうとしないのか、
理解出来なかった。

いつの間にか、二度と戻れない程に、
今居る場所は澄んでいて、心地よかった。
 
私は、幸せな奴だった。

 
 
男の人は、外で鬼百匹と戦ってくるんだって。
だから、
偽りだとか装いだとか綺麗ごと言ってられない。
守るべきものの為に、当り前に汚れを引き受ける、そういう事なんだろうか。
  
  
私はもう、私の前に表れてくる世界を選り好みしたくない。
誰かの現実を否定する時間は、もう、私の人生には要らないだろう。
 
だから、
受け入れることをやってみようと思った。
 
先の事は分からない。
何を選ぶことが正しいか、判らない。
 

自分のスタンスを定められなくて、苦しかった。
 
悔しさ、意地で道をチョイスする様な事に、ならないようにと思う。
 
欲、望み、自分がどうしたいのか、そういうものも、今は持ち込みたくないのだ。

白黒つける、線引き、モラル、常識的概念に沿った点線をなぞる事も、違うだろう。
 
 
ただ、人が居て、その接点がある。
どんな形であろうと、関わりであるからには、
好きだとか嫌いだとか、付き合う付き合わないとかの前に、
 
私は、
一個の存在として、感知する限り気が付いていたい。
 
 
目の前に存在する。
感知出来る距離にいるということは、
この広大な世界で、どれ程の縁であろうか。

 
この浮世には、定まっているものなんて、何一つないんだよ。
判らない中で、一瞬一瞬を、生きて行くんだ。

全ての概念を超えて、定まることを知らないヤジロベエの一点に止まり、
 
見て行きたい。相手を、自分を。