私は小学校のころはよく図書館に行って本を読むという自称文学少年でした
それが歳を重ねるごとに本への興味が薄れていって中学ではもう全く読む機会がなくなっていましたね
そして迎えた高校3年、久しぶりに本を読んでみようと思って本屋で手にしたのが『ハサミ男』でした
ハサミ男 (講談社文庫)/殊能 将之
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美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。
叙述トリックの作品として必ずといっていいほど名前があがるこの作品
この作品に限った事ではないですが、ネットでいろいろ書いてある書評はどこもかしこもネタバレ要素が高いですね
「○○見ただけでトリックがわかった」などという自慢情報はこれから読もうとする人にとっては全くいらないどころか余計な先入観が入るので邪魔とも言える情報です
純粋に驚かされたいですからね
愚痴ばかりではこの作品の魅力は伝えられませんのでさっそく紹介を
この作品の魅力はやはり美少女を狙って殺害する猟奇殺人犯<サイコパス>「ハサミ男」自身じゃないでしょうか
狙っていた獲物を模倣犯によって殺されてしまうことにより、殺人鬼であるにもかかわらず探偵役として真実を追求していくハサミ男
なんども自殺を繰り返す様はイギリス作家の絵本『自殺うさぎの本』を思い出しました
またことごとく失敗に終わっているがなんともいえませんね
ひとつあげるとすると、煙草の煮汁でニコチンを摂取して自殺しようとしています
苦いからといって大量の砂糖と共に煮込む姿は少しおもしろくも見えました
話はそれますが、ニコチンを凶器として使用した作品で有名なのはエラリー=クイーンの『Xの悲劇』でしょうか
といっても、経口摂取と針の先についていたという点ではちがいますが、どちらにせよニコチンが死に導く可能性を秘めていると考えると怖いですね
噂によると青酸カリと同等かまたはそれ以上の猛毒らしいです
そう考えると煙草に含まれるニコチンはほんと微量なんですね
話は戻りまして
サイコパスの目線から書かれるというのは、理解しがたい殺人動機など非道な殺人方法なども鮮明に描写されることにつながり、魅力的な主人公にさえなってくるのだと感じました
サイコパス目線で書かれた作品といえば、一昨年映画で大ヒットとなった『悪の教典』もあげておくべきでしょう
悪の教典 上 (文春文庫)/貴志 祐介
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悪の教典 下 (文春文庫)/貴志 祐介
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『ハサミ男』と『悪の教典』、違いはあれども、やはり殺すことに抵抗がなく、無残な殺し方を選択するあたり共通な主人公の魅力が見えてきます
こういった作品に対して読者は自分にはない非常識・非道理・非日常的なサイコパスの思考のどこかに憧れを抱き、魅せられているのだと思います
そして私は『ハサミ男の』終わり方にもゾクッとしました
最後のハサミ男の一言には恐怖を覚えます
終わり方に触れている書評記事を見たことはありませんが、私はここにもこの作品の美しさが出ていると思います
そういった主人公の魅力を感じながら読んでいただきたいです
今回『ハサミ男』の最大の特徴である叙述トリックの部分にあまり触れませんでしたが、叙述トリックの小説はなにも情報がないまま読むのが一番疑い深くなりそして一番驚くことができる読み方だと思っているからです
私はこの作品に驚かされ、次々にミステリおよび叙述トリックの作品を買い漁るようになりました
ぜひ、まだ読んでいない人は思う存分驚かされてください!
そういえば
『ハサミ男』を読んだ1ヶ月ほど後に作者である殊能将之さんが亡くなられたんですよね
「すごいなーこの人」と思ってた矢先の出来事だったのでショックを受けたのを覚えています
殊能さんの他の作品である『キマイラの新しい城』にも興味があるのでのちのち読みたいと思います
ただ財布の中身が軽くなってきているので図書館で借りることになりそうですね・・・
さて、1回目となります本の紹介はどうでしたか
小中高と読書感想文を大の苦手として生きてきてた私なので話が二転三転していますが、これからもブログを続けて、文章を作る力をつけていこうと思うのでよろしくおねがいします
そいじゃまた。