朗読「銭形平次」
「槍と焔」、YouTubeで朗読を公開いたしました。
雜穀問屋には相違ありませんが、何百年續いた町名主で、
何んとかいふ苗字まで許されて居り、
竪川に臨んで、一町内を睥睨する宏大な構へでした。
では「槍と焔の地理的なお話」です。
今回はほとんどが
阿波屋のある本所相生町二丁目ですけれど。
① 神田明神 かんだみょうじん
平次の家は「神田明神下御台所町」。
② 本所相生町二丁目 ほんじょあいおいちょうにちょうめ
阿波屋のある場所。
③ 松井町 まついちょう
阿波屋栄之助の先妻、お島の妹の嫁ぎ先。
④ 回向院 えこういん
明暦の大火後、犠牲者を埋葬した塚が始まりと言われる。
⑤ 相生町一丁目 あいおいちょういっちょうめ
「一丁目の瀧先生」と言われているので
瀧宏庵先生の家は相生町の一丁目なのでしょう。
⑥ 石原 いしはら
石原の利助の縄張り。
⑦ 柳原土手 やなぎわらどて
平次と八五郎が阿波屋に向かうのに通った場所。
本所相生町は
今のJR両国駅から南側に出てちょっと行ったとこ、
今もある回向院の先ぐらいですね。
回向院の近くは
昔、用事があってよく行ったけど、
周りを散策したことはあまりなかったから
回向院に入ったこともないし、
堅川(たてかわ)の辺りも行ったことはあまりない。
地図… グーグルマップで見ると、
堅川、
首都高速の下になってるけど、
今もちゃんとありますね。
この堅川の北側に
阿波屋があった設定。
そして、阿波屋の先妻お島の妹が嫁いだ先が、
堅川をはさんで南側の松井町。
松井町、もしかしたら
もうちょっと南側、
堅川から離れた場所かもしれないのですけど、
古地図に載ってた場所を参考にしました。
瀧宏庵先生のいると思われる
相生町一丁目は
二丁目と隣接していて
スペースがなくて地図には描き込めなかったけど
二丁目の西側、
回向院の下（南)のとこになりますね。
柳原土手は…
平次と八五郎が
平次の家から阿波屋に向かうときに
名前が出てきただけですけど、
柳原土手の白い蝶々を追いながら
両国を渡って相生町にかかった
という表現が何かいいですね。
八五郎が、飛んでる蝶を気にしながら歩いたりしてそう。
ちらと名前だけ出てきましたけど
「向柳原」、
八五郎の家(正確には八の叔母さんの家)のある場所は
柳原土手の対岸になります。
そうそう、
もう何年も前だけど、
電子書籍の挿絵で「槍と焔」には
瀧宏庵先生の絵を描いたのだけど、
や、これはこれで嫌いじゃなんだけど、
このときはわりと
ちょっととぼけた感じの…
達観した感じの？
先生を思い浮かべてたのかな、
今回の宏庵先生は
わりと、しゃっきり、さばさばした感じの
ご老人を思い浮かべておりました。
背景は前の時の感じで描いてみましたよ。
今回参考にした古地図は
尾張屋版江戸切絵図 本所絵図
尾張屋版江戸切絵図 深川絵図
本所絵図の一番下と
深川絵図の一番上を
横に流れているのが堅川で、
回向院や相生町は本所絵図の左下、
松井町が深川絵図の左上になります。
その辺りを拡大してくっつけてみたのが
今回描いた地図です。
次回につづく！
(三)
【惣領】 そうりょう
家名を継ぐ人。跡取り。
いちばん初めに生まれた子。
【五六間】 ご、ろっけん
【松井町】 まついちょう
本所松井町。
堅川の南側の町。
(四)
【三両】 さんりょう
一両＝ 5～10万円くらいとすると、
今の15万～30万。
一両＝ 5～10万円くらいとすると、
25万～50万。
【回向院】 えこういん
両国回向院。
明暦の大火の犠牲者を供養した塚が始まり。
境内で勧進相撲が行われていた。
【十徳】 じゅっとく
男性の服。
脇を縫いふさいだ素襖。
