「銭形平次捕物控 金色の処女(再録音) 後編」野村胡堂 | ゆづき24時 2nd

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朗読「銭形平次」

 

「金色の処女再録音、公開致しましたー。

 

 

「銭形平次捕物控 金色の処女」

 
続いて燃え立つような真紅の布を纏った四人の女が、
一人の娘を伴れて現われました。
夢見るような足取りで、
無抵抗に台の上に押し上げられたのを見ると、
こればかりは町娘の服装をしたお静の囚われの姿だったのです。

 

 

てんとうむし

 

 

「金色の処女」の地理的なお話

 

「金色の処女」についてや、その地理的な話も

過去のブログなどにもあげてはおりますが。

 

今回描いた地図はこんな感じ。

 

 

神田明神 : 銭形平次が住んでいるのは

         神田明神下御台所町。

大塚御薬園 : 現在の護国寺のある場所。

           峠宗寿軒の預かる幕府の御薬園。

音羽 : 護国寺の門前町。

      最近話題の化粧品屋「唐花屋」のある場所。

両国 : 見世物・水茶屋などで栄えた江戸の繁華街。

      お静の勤める水茶屋のある場所。

 

 

大塚御薬園は実際にあった御薬園です。

 

ざっと説明しときますと、

 

寛永15年(1638年)、

二つの御薬園 が開設。
南薬園 (品川または麻布御薬園)と、
北薬園 (高田または大塚御薬園)。

天和元年(1681年)
護国寺建立のため、北薬園は廃止となり、お薬草は南薬園に移設。

貞亨元年(1684年)
白金御殿建設のため、南薬園も廃止となり、
小石川御殿の敷地内 小石川御薬園 として移転。

享保7年(1722年)には、小石川御薬園の一角に、
小石川療養所 が設けられる。
これが、つまり、現在の
国立大学法人東京大学大学院理学系研究科附属植物園
つまり 小石川植物園

 

 

 

天和元年(1681年) 護国寺建立のため、

大塚御薬園が廃止になったのは原文の通りですが、

 

実は、

「唐花屋」があることになってる

護国寺の門前町「音羽」は、

護国寺が出来てから出来た町ですので

ホントはこの頃、「音羽」という地名ではないのでしょうけれども…

 

護国寺

家光が、母・桂昌院のために建てたもの、

音羽

桂昌院の信任の厚かった奥女中「音羽」の名前にちなんだもの。

 

いや、しかし、「金色の処女」自体は

フィクションですからね。

それを言ったら、

「唐花屋」もホントにはないと思うし、

峠宗寿軒やお小夜も実在しないでしょうよ。

 

 

数年前に

この辺を歩いてみた記録は

こちらに↓

「金色の処女を巡る旅」

 

 

 

てんとうむし
 
 
今回のテキストは
「青空文庫」の中でも
主に「新字新仮名」の方を参考にしておりますが、
 
前にやったときは
「旧字旧仮名」の方をテキストにしておりました。
その頃はまだ新字新仮名の方が
青空にあがってなかったのですね。
 
「新字新仮名」のほうでは
「唐花屋」には
「からはなや」とルビがふられてますけど、
前回の私の朗読では
「とうばなや」と読んでおりますので
今回も「とうばなや」と読んでおきましょう。
 
「旧字旧仮名」の方では
「とうばなや」とルビがふられてるんですけれども、
そもそも今回のタイトル
「金色の処女」
新字新仮名→「こんじきのしょじょ」
旧字旧仮名→「こんじきのおとめ」
と、ルビが違っている。
 
他にも、助詞の使い方などで「?」と思ったとこなど
「新字新仮名」「旧字旧仮名」をくらべて
こっちでいいかな、と思った方を使ったりもしています。
 
うちに何冊かある「金色の処女」を収録した
「銭形平次」の文庫でも
底本の違いによって、
結構違ってるところがあったりもするようですね。
 
普段、朗読の際には
読み間違えには結構注意しているつもりだけど…
考えてみると
現代の小説なんかでも、
単行本で出たとき
その後文庫化する際
加筆修正がされていたりする場合って結構あるものなあ(^^;
そういうものよね。
 
 
てんとうむし
 
 
今回は、また
電子書籍の挿絵で描いた場面を描きなおしてみよう、
っていうんで数年前に描いた絵を
サムネイル他に使いました。
 
 
この場面は… というかこのお話自体もう
後の「銭形平次シリーズ」にはない、珍しい展開というか、
初期の頃の冒険大活劇調だった頃のお話で
 
絵にしてみたらおもしろそうな場面もたくさんあるのですけれど、
どの場面を描くか、描き過ぎないか、
という選択も悩ましいところですね。
 
 
そうそう、
数年前、まだまだ簡単な絵で始めた
挿絵付紙芝居調朗読なので、
 
初期の頃はキャラクターのデザインも簡単だったのですが、
近年もっとちゃんと描きたい欲が高まって
(いえ、そうたいしたものじゃないけど)
 
しかし、いきなり絵が変わっちゃうのはなんだからと
少しずつ少しずつマイナーチェンジを繰り返しております。
 
というわけで
初期メンバー(レギュラー陣)には「鼻」がなかったんですが、
そろそろ、平次たちにも「鼻」をつけても良い頃かと…
 
うーん、
だいぶ印象違うかな…
それともそんなに変わらないかな。
 
 
 
 
てんとうむし
 
 
ちょっと 注意ネタバレ を含みますが…
 
 
今回の悪役、峠宗寿軒
 
なぜ将軍家光の命を狙ったかというと、
実は、宗寿軒は
駿河大納言忠長の臣 だったという話。
 
駿河大納言・忠長 とは、
徳川忠長 のこと。二代将軍徳川秀忠の三男。
つまり、 三代将軍徳川家光の です。 
 
父の秀忠や、兄の家光とはいろいろ確執があったようで、 
寛永10年に、幕命により(家光に命令され)享年28歳で自刃。
 
その主人の恨みを晴らすために
峠宗寿軒父娘は
家光の命を狙っていたということです。
 
 
 
ところで、
絵にしてみてから思ったんですけど…
 
家光笹野新三郎
どこで入れ替わったんだろうなあということですよねえ…
 
私としては、
鷹狩に出かけたところまでは家光で、
大塚御薬園、高田御殿に入ったときには
新三郎に入れ替わってた、というイメージだったんですが。
 
なので、鷹狩に行くところの絵は
家光を描いているのですが。
 
鷹狩の時点で
そもそも、もう新三郎だったということも
考えられなくもない。
だから恐ろしく不機嫌なフリをして顔を隠してたんじゃないか、とか。
 
もしくは、新三郎と家光は
面差しが似てるどころか、かなりそっくり、とか。
 
将軍の御鷹狩って、どんな格好だろう?
と、結構がんばって描いたんだけど、
「微行の姿」で出かけた、というわりには
ちょっと派手だったかな、とか。
いやしかし、鷹狩には鷹狩用の格好ってあると思うので
鷹狩の時間と、それ以外の時間は
違う恰好をしてる可能性もなくはない?
 
まあ、その辺の指定ははっきり書いてないので
その辺は演出次第ということで。
 
冒険大活劇として
楽しく聴いていただければ幸いです。
 
 
てんとうむし

 

 

とういわけで

「金色の処女」は一件落着です。

 

初期の頃のお話は

お静が危ない目に合う話も結構あって

その辺はご意見のわかれるところかもしれませんが

 

この頃のお話はホント

大冒険、大活劇、ですね。

 

 

 

ご視聴ありがとうございました!虹

 

 

 

てんとうむし

 

 
(五)
【三方】 さんぼう、さんぽう
神道の神事において使われる、神饌を載せるための台。
古代には、高貴な人物に物を献上する際にも使用された。寺院でも同様のものが使われる。

【紅毛人】 こうもうじん
江戸時代に、オランダ人やイギリス人など北ヨーロッパ系民族を総称した言葉。
濃い髪色の多い南ヨーロッパ系(スペイン人・ポルトガル人)の南蛮と対比して使われた。
鎖国以後は、ほとんどの場合オランダ人を意味した。

【二刻】 ふたとき
江戸時代の時間のかぞえ方で、約四時間。一刻は約二時間。
厳密には、昼夜や季節によっても違う。
詳しくはこちら→ 江戸時代の時間 
 
(六)
【近習】 きんじゅ
「きんじゅう」とも読む。主君のそば近くに仕える者。

【総髪】 そう はつ
男子の結髪のひとつ。
月代(さかやき)を剃(そ)らず,伸ばした髪の毛全部を頭頂で束ねて結ったもの。
近世、主に儒者・医者や山伏などが結った髪形。そうごう。そうがみ。

【鳥の子】 とりのこ
鳥の子紙(とりのこがみ)とは、和紙の一種。
主に画材や書道の用紙、また襖の上貼りなどに使用するもの。
この場合、おそらく襖のことではないかと。

【小袖】 こそで
日本の伝統的衣装の一つ。現代日本で一般的に用いられている和服の元となった衣類。
袖口の開きが大きく、袖丈一杯まで開いている袖の形状を、大袖(おおそで)と言うのに対し、
「小袖」は袖口の開きが狭いことから付いた名称。

(七)
【黒羽二重】 くろはぶたえ
黒色のはぶたえ。
羽二重は、日本の代表的な高級絹織物の一種。紋付などの礼装用和服地。黒羽。

【霰小紋】 あられこもん
あられのような細かい文様を一面に染め出したもの。

【裃】 かみしも
和服における男子正装の一種。通常は肩衣と袴を共布で作り、小袖の上から着る。
肩衣は背と両乳、袴の腰板の4か所に紋を入れて用いる。
江戸時代には無官の武士の最礼装とされ、身分のある百姓や町人もこれに倣うことが多かったため、
現在でも伝統芸能や祭礼などにおいて用いられることがある。

【小粒】 こつぶ
この場合は、「小粒金」の略。「小粒金」は「一分金」の略称。
「一分金」は、江戸時代の金貨のひとつで、小判一枚(一両)の四分の一。

【小判】 こばん
江戸時代に流通した金貨のひとつ。
 
(八)
【金泥】 きんでい/こんでい
純粋もしくはそれに近い金を粉末状にして
膠水(にかわすい/膠が入った水)で溶かした絵具のこと。

【情人(いろ)】 いろ
情人(じょう‐じん)。恋愛関係にある人。情事の相手。愛人。いろ。じょうにん。

【唐櫃】 からびつ
辛櫃,韓櫃とも書く。衣服,経巻などを収納する唐風の覆蓋造りの櫃。
4脚または6脚で、その脚の上部の穴に紐を通してかつぐようにしたもの。
木地、朱塗り、漆塗、蒔絵または螺鈿を施したものなどがある。
 
(九)
【駿河大納言忠長】 するがだいなごんただなが
徳川 忠長(とくがわ ただなが)。江戸時代前期の大名。
極位極官が従二位大納言で、領地が主に駿河国であったことから、通称・駿河大納言。
江戸幕府第2代将軍徳川秀忠の三男。

【天和元年】 てんながんねん
1681年。天和年間は、1681~1683年。
 

 

 

 
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