朗読「銭形平次」
「たぬき囃子」、UP致しましたー。
「狸囃子――?」
「え、本所七不思議の一つの狸囃子でございますよ。
こんな場所ですから、
狐や狸のいるに不思議はありませんが、
近頃はそれも毎晩のようで、
うっかりすると寝そびれて、
暁方になってウトウトすることがございます」
今回は、「本所七不思議」
「狸囃子」にちなんだお話です。
「本所七不思議」は
江戸時代頃から本所あたりに伝承される怪談。
ネットで検索するだけでも
三代歌川国輝の描いた浮世絵など
すぐ見つかると思います。
「狸囃子」は
夜にどこからともなく聴こえてくるお囃子の音、
外に出て追いかけてみても、
囃子の音は こちらの動きに合わせるように
遠ざかってしまい、
結局 どこから聴こえてくるかわからない。
というものですね。
「吾妻橋の佐竹様のお屋敷の辺りかと思うと、
松倉《まつくら》の方に変り、
原庭の松厳寺の空地かと思うと、
急に荒井町の方角に変ったりいたします。」
あらためて、「本所七不思議」。
「片葉の葦」「送り提灯」「置いてけ堀」
「落ち葉なしの椎」「足洗い屋敷」
「消えずの行灯」「狸囃子(馬鹿囃子)」
ほかにも「津軽の太鼓」というのが
加わるときもあったりするとかで。
宮部みゆきさんの時代もので、
「本所七不思議」を題材にした
「本所深川ふしぎ草紙」(新潮文庫) が
たいへんおもしろいです。
ほかにも
「宮部みゆきの江戸怪談散歩」(新人物文庫)
にも本所七不思議が紹介されてて
おもしろいです。
ご興味あれば、ぜひ。
宮部みゆきさんや
藤沢周平さん、池波正太郎さん などの
時代物は、ホント、朗読してみたいけど、
著作権ものをやるのは
ホント、著作権の関係上 難しいのですよ。
そういえば 番頭さんが
「こんな事と 知ったら、
場所柄で、
お願いしておくのでございました」
と言ってましたが、
現代では、相撲、国技館、といえば
「両国国技館」ですけれども、
江戸時代の相撲は、
今の国技館とは少し場所は違いますが、
おなじく 両国の回向院で
行われていたのですよね。
そういえば
両国国技館ができる前に、
蔵前国技館ってなかったっけ…?
蔵前国技館は
回向院境内にあった初代国技館のあと、
昭和59年に両国国技館ができるまでの間、
蔵前にあったようですね。
余談ですが、
稽古中、「泥棒狸」をまちがえて
「狸泥棒」
と言ってしまった。
「泥棒狸」「狸泥棒」で だいぶ意味が違うなあ。
「泥棒猫」と「猫泥棒」みたいなもんで。
泥棒を猫に例えたのが 泥棒猫。
猫を盗むのが 猫泥棒。
ではでは、
次回につづく!
【(三)(四)の語句解説など】
(三)
【番頭】【手代】 ばんとう てだい
江戸時代の商家の役職のひとつ。
番頭は、商家で、使用人の内で最高の地位にあるもの。
10歳前後で小僧として住み込んで、→ 手代 → 番頭 となる。
【二、三百両】 に、さんびゃくりょう
江戸時代中にも変動はあるのですが、
一両 = 5~13万、
江戸時代後期と考えて
一両 = 5万 と計算しても
1000万~1500万 くらいでしょうか~。
【寅刻】 ななつ
明方4時頃。
江戸時代の時刻の詳しい解説はこちら
(三)
【半刻】 はんとき
約一時間。
【馬鹿囃子】 ばかばやし
江戸・東京周辺の祭礼で行われる囃子。
太鼓・笛・鉦(かね)などを用いる賑やかな囃子で、
おかめ・ひょっとこなどの面をかぶって踊ったりする。
たしか、三輪の萬七の子分・お神楽の清吉は
昔、この馬鹿囃子をやっていたため
“お神楽の清吉” と呼ばれているっていう
説明が、シリーズのどっかにあったような。