朗読「銭形平次」、
「母娘巡礼」、解説&雑談 最終回です。
その夜、根岸を中心に張られた網は、
近頃に無い 大捕物陣でした。
捕物頭は 與力・笹野新三郎、これは名目だけで、
実権は 銭形平次が握ったも 同様、
それに 浅草下谷から狩り集めた組子が
ざっと三十人。
ところで、
今回はセリフのない 笹野新三郎さま ですが、
一応、名目上は捕物頭ということで。
で、絵に描く場合、
捕物に出る与力の衣装
ってどんなだろう とふと迷う。
いわゆる、
鬼平犯科帳で長谷川平蔵が着てるようなやつか。
長谷川平蔵は、「火付盗賊改方」だけど、
与力筆頭の笹野さまは その恰好でいいのか。
いろいろ調べてみると
与力の捕物時の恰好に 二説あるみたいで、
●同心みたいな 着流しで胴締めでたすき、みたいの
●鬼平みたいな 陣笠かぶってるやつ
気持ちとしては、
鬼平みたいの(陣笠ね) 描きたいよねー。
そこで 過去に見た時代劇のDVDとか
超見返す。
…
そして… あった!
与力が 陣笠かぶってる場面!
ということで、
(六)の冒頭のイラストは
上記のようになりました。
どうも、
最初は桜田元町(現在の東新橋)に
建立された智福寺が、
切支丹弾圧の刑場跡地だった
芝田町六丁目に移転
(跡地を寺院にすることで刑死した人々も
浮かばれるだろうという)、
というのが、お寺の変遷みたいです。
今回は 4月のお話で
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20200517/13/hagi-yuzuki/f0/f0/j/o1920108014760055958.jpg?caw=800)
三吉と 根岸へ行ってみる場面。
連翹を描き加えたら、いい感じになった気がする。
ラストシーンは 私の今まで朗読したものの中では
珍しく夜じゃない。
菜の花畑の中を行くのは お茂とお信ですが、
平次と八五郎も 菜の花畑を背にして家に帰るのかなーと。
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いつもは わりと
訳アリの下手人を 逃がしてあげたり
見て見ぬふりをする平次ですが、
今回は 結構 ちゃんと
巳之松を引き渡しちゃうのね……
そんなあ~… 平次ぃ~…
と思わなくもありませんでしたが、
うーん、確かに、
巳之松は 過失じゃなく
意図的にお梅を殺しているものね…
例えばこのとき 平次に見逃されても、
敬虔なクリスチャンである巳之松は
良心の呵責に耐えられないかもしれない。
神さまの教えに背いちゃったわけだし。
せめて 詮議中に牢死したというのが、
どういう経緯で牢死したのかは
詳しく書かないけれども、
胡堂先生の優しさなのかもしれない。
勝手な私の推測(というか希望)だけど、
実は かつてより病気を抱えていて、とか
せめて 過酷な牢死でないといいなあ、
と願ったりする。
この人たちも忘れちゃいけない、
三輪の萬七親分と お神楽の清吉。
というわけで、
「母娘巡礼」、
これにて 終了です。
ご視聴ありがとうございました!
【(六)の語句解説など】
(六)
【根岸】 ねぎし
現在の東京都台東区あたり。
鳥や花など四季折々の風物に恵まれて、
昔から お金持ちの別荘地、のような場所だった。
【鈴ヶ森】すずがもり
江戸時代にあった刑場。