アンデスがわたしを呼んでいる | ハゲとめがねのランデヴー!!

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『深夜特急』にあこがれる妻(めがね)と、「肉食べたい」が口ぐせの夫(ハゲ)。
バックパックをかついで歩く、節約世界旅行の日常の記録。

 

アンデスがわたしを呼んでいる

 

2か月ほどのスペイン・ポルトガル巡礼旅を終え、われわれは久々に空路をとった。

 

今回は大移動。

時差が大きく動くため、もはや何時間飛行機に乗っていたのかわからないが、とにかくとってもとっても長いので頑張って寝た。

 

着いたのはペルーの首都リマ。

 

とうとう大好きな南米に帰ってきた。

 

 

わたしが以前一人で長期旅行した際、アンデス地方(おおまかに南米、太平洋側の地域)の考古学的遺物との出会いは最大の衝撃だった。

アンデスの土器が、わたしにこれほど考古学への関心を抱かせたきっかけだったのである。

 

世界にはこんなにおもしろいものがあるのか。

わたしはこれを知らずに生きてきたのか。

絶対もう一度じっくり見よう。

 

そうわたしは決意した。

 

そしてそれ以来本を読んだり関連する展示を見たり、ずっとわたしの心にアンデスはあった。

スペイン語を始めたのも、いつかアンデス土器に関する文献を読めるようになりたいという思いがあったからでる。

 

アボリジニアート同様、アンデスの土器も一見すると何がなんだかわからない種類のアートだ。

しかしわからないからこそ読み解きがいがある。

 

なぜアンデスの土器はこんなにヘンテコなのか。

漫画みたいなタッチの絵は何を表しているのだろう……。

 

今回の旅でも、モンゴルの動物を抽象化した紋様や、トルコのアナトリア文明の土器、ブルガリアの黄金のリュトン、スリランカの精巧な象牙細工などなど、世界中でさまざまなかわいいアイテムに出会ってきたが、しかしアンデス。

 

アンデスの地に来て博物館を再訪すると、ああ、やはりアンデス。

土器や布の「意味のわからなさ」が群を抜いている。

 

 

わたしはこれから「アンデスの土器を読み解く」という壮大な旅を始める。

 

それは博物館に行ったり図録を読んだり、ときには遺跡も行けたらいいなというごく普通の観光であるが、わたしの心は非常に高揚していてコンドルのように飛んでいきそうだ。

 

そしてやや温度差はあるものの夫も南米には多少の興味があるようなので、リマに着いてさっそく博物館めぐりを始めた。

 

わたしとしてはブログのタイトルを「土器とめがねのランデヴー」に変えたいくらいであるが、いちおう夫にも義理があるのでそのままにして、

 

「ハゲとめがねのランデヴー」南米編の始まりである。

 

 

 

*リマ、中央準備銀行博物館*

これまで旅行記メインで書いてきたが、アンデス編については博物館や図録、遺跡などで得た情報もまとめていきたいと思う。

人に話すと考えが整理できて便利なのだが、夫は土器の話を熱心に聞いてくれないのでブログを有効活用したい。

 

 

まずはひとくちに「アンデスの土器」といっても、まったく一様ではないということを紹介する。

 

以下の写真は中央準備銀行博物館のもの。

ここはリマの観光中心部にある無料の博物館で、無料といえども

 

「あ、もう、有料にしてくださっても結構ですから……」

 

と恐縮するほど充実している。

 

旅のやり方は人それぞれのためわたしはあまり「これがオススメ」と言いたくないが、ここはペルーの文化を無料で概観できるうえに立地もよいのでオススメである。

興味がなかったら外に出て、チチャ(紫トウモロコシのジュース)でも買ってすすればよいのだ。

 

1階には現代作家の展示、そして伝統工芸など民俗学的展示があり、そして地下には考古学的展示が広がっている。

元は銀行の建物だったため地下には分厚いドアのある金庫室があり、その中には黄金の装身具などが展示されていて、建物と展示内容が合っていて楽しい。

 

 

(ペルーの現代アーティストChonon Benshoの作品展。

刺繍やビーズなどさまざまな素材を用いてジャングルや海が描かれ、どこかアジア的な南洋ぽさも感じた。

 

この絵は特に色彩が美しく気に入った。

フランスの画家アンリ・ルソーを彷彿とさせる作品)

 

(土器にはこのように動物を写実的に模したタイプがある。

持ち手が鎧(あぶみ。馬具の一種)に似ていることから鎧型土器と呼ばれ、これは北部の土器の特徴)

 

(これはビクスというペルー北部の文化に属する土器。

土器の中に、人がいる。

ビクスは紀元前200年〜紀元後500年くらいと説明にあったが、それほど昔にこんなに薄く、しかも中に小像を入れて土器を作っていたのかと感激した)

 

(これもビクス文化の土器だが、わたしはビクスの土器に非常に関心を持っている。

この作品については「両側から動物に襲われて悦んでいる……?」と一瞬思ったが、きっとそのような変態的な場面ではなく、何か別の深い意味があるに違いない)

 

(ナスカといえば地上絵が有名だが、土器ももっとスポットライトを当てられてしかるべきではないか。

ナスカ土器の漫画的センスは他の地域とは異なる特色を持っている。

 

ところで貞子はこの土器から着想されたのだろうか)

 

(これは中央海岸のチャンカイ文化の土器。

チャンカイ土器は表面に光沢がなく、白地に黒や茶で装飾してある)

 

(金庫室の中の展示。

メドゥーサのようにも見え、異なる大陸で似た図象が出来上がるということが興味深い)

 

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