ボロブドゥールは「文字のない本」【前編】 | ハゲとめがねのランデヴー!!

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『深夜特急』にあこがれる妻(めがね)と、「肉食べたい」が口ぐせの夫(ハゲ)。
バックパックをかついで歩く、節約世界旅行の日常の記録。

 

ボロブドゥールを訪ねて

 

ジョグジャカルタからバスで約1時間。

インドネシアで一番有名な観光地、ボロブドゥールに着いた。

 

ボロブドゥールといえば浮き彫りがほどこされた仏教遺跡が有名である。

 

わたしは出国前に趣味と旅の準備を兼ねて、近くの大学の世界史公開講座を受講していた。

その先生がスライドで見せてくれたボロブドゥール遺跡の浮き彫りを、ぜひともこの目で見たくなったのだ。

 

なぜなら浮き彫りには仏教の教えだけでなく、船やら乗り物やらといった当時の生活に関する情報が詰め込まれており、つまり遺跡まるごと博物館ではないか。

これを見逃しては博物館愛好家の名がすたる。

 

というわけで遺跡近くに宿をとり、着いた翌日さっそく遺跡に出かけたのだった。

 

 

遺跡のサンダル

 

「遺跡へのチケットを当日券として買うなら、早朝に出かけたほうがいい」

 

と宿で聞いたわれわれは朝7時半頃遺跡に着いた。

 

ちなみに「着いた」と文字にしてしまえばたった3文字であるが、旅行中に目的地の入口が簡単に見つかることは稀であり、今回も周囲をさんざんうろうろしたり警備員に道を尋ねたりした結果、やっと現地語で「入口」と書かれた場所を見つけた。

そのように旅とは雑務と遠回りの連続であり、たどり着くまでが長い。

 

とにかく入口に着いたので遺跡のチケットを買い求めると、8時からのグループに入れるという。

そう、つまりこの遺跡は好き勝手に見られないタイプの遺跡なのである。

 

遺跡の敷地内にある博物館などは自由に個人で観光できるものの、一度に寺院に登れる人数には制限がある。

遺跡の良好な保存のためにもガイドの監督が必要なのであろう。

 

いささか残念ではあるが仕方ないので流れに身を任せて係員の指示通り進むと、

 

「あそこでサンダルを受け取るんだ」

 

と指示される。 

 

ボロブドゥール遺跡では遺跡保護の観点から、指定のサンダルを履かねばならない。

 

われわれは別にビーチで青春するわけでなくとも、宿の中など近距離移動で使うためにサンダルを日本から持参している。

そのためわたしは内心こう思った。

 

いらん。

きっといかにも使い捨てのダサくてうすっぺらいサンダルであろう。

自前のを持ってくるからその分チケット安くしてくれ。

 

しかしカウンターでサンダルを受け取ると、それは使い捨てにするのは惜しい、いかにもトロピカルな国々に合いそうなデザインであった。

厚みもそこそこあって履き心地も悪くない。

 

困った。

これを使い捨てるのにはためらいがある。

いっそダサくてうすっぺらいサンダルであったら遠慮なく捨てられたのに……。

 

というわけでこのサンダルはいずれ日本に郵送することに決めた。

 

バックパックの底に「不要ではあるが捨てられない荷物」として鎮座することになるそのサンダルに履き替え、待合所でしばらく待機。

やっとガイドとともに出発だ。

 

中編へ続く。

 

 

(ボロブドゥールは積み重なった層状の構造物である)

 

(スリランカもそうだが、なぜ寺院の前にはかわいいものを置きたがるのか)

 

(アーチについている三角帽子のファンキーな生き物は「カーラ」といい、悪いスピリットを撃退するらしい)

 

(遺跡には多数の排水システムが取り付けられている)

 

(スリランカの遺跡でさんざん見たミステリアスな生物に似ている)

 

(見開いた目、明確な鼻の穴、隙間のある磨きがいのありそうな歯……。

こういうデザインを見ると無性に嬉しくなる)

 

(遺跡のサンダル。

ご覧のとおり夫のすね毛は頭部と反比例するように長い)

 

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