スモタン(ザ スモールタウンボーイズ)への道   1回目 | 枚方コーリング

スモタン(ザ スモールタウンボーイズ)への道   1回目

「あだ名はあひるです」と「ステイゴールド」でお馴染みの佐藤と浅田が繰り広げる枚方市のとある府立の某香るが里高校でのスモールワールド!おバカな二人がとうとう部活へ入部!さていったいどんな高校生活が始まるのか!

さー!第1回目です!








スモタン(ザ スモールタウンボーイズ)への道  1回目






高校生活も慣れてきた5月末の放課後、佐藤と浅田は狭い楽器倉庫の中にいた。

校舎の2階にある音楽教室の横にある楽器倉庫である。

浅田は無心にアコースティックギターを爪弾いている。Gのコードでアルペジオである。初心者がはまる初歩的な演奏である。

その横で佐藤もギターを抱えて、浅田を眺めていた。



「でよーフォークソングってなんなんだ?」と佐藤は浅田に問いかけた。

浅田は答えずに無心にギターを爪弾いている。

音楽教室ではたくさんのフォークソング部の部員がギターをジャカジャカ鳴らしながら尾崎豊や長渕剛の唄を唄っていた。


佐藤は軽音楽部に入るつもりであった。佐藤は音楽においては早熟であり小学生の頃からビートルズやらローリングストーンズ、しいてはパンクロックなど洋楽中心に聴いて育ってきた。ギターもそれなりに上手に弾けるし、自分で曲を作ったりするようにもなっていた。


しかし、この高校には軽音楽部はなくその代わりにフォークソング部があった。


「ギターが弾きてえ!毎日弾きてえ!」

という佐藤と浅田の意向が一致して、とりあえずフォークソング部に入ることにしてみたのだ。


しかし、やはりフォークソング部である。

目の細い太った石田純一のような顧問が尾崎豊の唄を部員たちに弾いて唄って教えていた。

石田の自分に酔った必要以上に感情がこもった唄声が聴くに耐えられなくなった佐藤は隣にある楽器倉庫に逃げ込んできたわけだ。




「暑いわ・・・」

5月末である。閉め切った楽器倉庫内は蒸し暑かった。耐え切れず佐藤がもらした。


「っつーか浅田よ!毎日毎日よー!こんなとこでギターいじってよー!つまんねえよおれ!」

うつむいてギターを弾くのに必死になっている浅田に佐藤がイライラした声で訴えた。


「・・・いや、オレ別に楽しいで!ギター巧くなりたいし」


「っつーかオマエ毎日毎日同じ曲ばっかじゃねーかよ!んなこと毎日やってっとまたチンポの皮が伸びんぞ!」

「やかましわ!チンポは関係あらへんやろ!ええやん!巧くなるために練習してるんじゃ!」

と浅田は怒って言った。浅田は真性包茎なのだ。包皮をかぶしたままで自慰にふけるため皮が必要以上に伸びてしまったのだ。

中学時代の体育のプールの授業前、更衣室で佐藤は浅田の太った下腹部に申し訳なさそうに花のつぼみのようにめり込んでいるチンポの先を佐藤はよく面白半分で引っ張ったりしてからかっていた。

「うひゃひゃひゃひゃひゃ!オマエのチンポで1曲作れるわ!」

佐藤は大笑いしながら浅田の怒りを無視して

「オマエギター巧くなりたいの?」

と聞いてみた。

「おう」

と素っ気無く答えて浅田はまたGのコードを爪弾き始めた。

「でなに?フォークソングやるの? っつーかフォークソングってなんやねん!あの音楽室の連中がやってるようなやつか!? あー!クソめんどくせー!全員でギター弾いてどうすんだよ!おんなじコードでジャカジャカやりやがって!気持ち悪いわ!」

佐藤は両手を握りしめて、頭上に振りかざし苛立ちを露わにして大声で言った。


佐藤はずっと気になっていた楽器室の奥に普段は使用されてないクラブ用のアコースティックギターの下に埋もれているバラバラになったドラムセットに視線を向けた。


と急に思い立ったように佐藤は楽器室のドアを開け放ち、無造作にドラムセットを隠しているギターたちを外に運び出し始めた。

「おいおい騒々しいな!何すんねん?」

あっけにとられた浅田の声を無視して

「ええからオマエも手伝え!はよ手伝え!」

と怒鳴った。

二人で全てのアコースティックギターを運び出すとホコリをかぶったドラムセットがバラバラの状態で姿を現した。

「浅田!ドラムセット組むぞ!」

とデカイ声で佐藤が言った。

「なんでやねん!フォークソング部やろ!いらんやん!先生に怒られるで!っつーか誰が叩くねん!」

佐藤は唇の左端を吊り上げて竹内力が難波金融道で敵を追い込んだ時に見せるような笑顔でニヤニヤしながら低い声で

「オ!マ!エ!だよ!」

と答えた。

浅田はの細い目は少し大きくなり小さい黒目に怒りの色を浮かべながら

「なんでオレが叩くねん!オレギター巧くなりたいからフォークソング部入部したっつうねん!なんでドラム叩かなあかんねん!」

と訴えた。

「やかましい!どっちでもいいから手伝えよ!」

「オレ絶対叩かへんで!」

「わかったから手伝えって!」

佐藤はバスドラを持ち上げながらニヤニヤしていた。

ある考えが佐藤の頭の中を駆け巡っていた。