このくだらな小説は3-1の続きです。
http://blogs.yahoo.co.jp/hujiji74/11144775.html?p=1&pm=l




2人はまだ、ほとんど話していない。

男は何か考え事をしているような顔をしている。

幸子は待っていた。

「何でも良いから何か話してくれれば良いのに・・・」と。


その男の口数が少ないことは知っていた。

でもその誠実そうなところが幸子の好みでもあった。

優しくて頼りがいがありそうだと。


秋が深まる9月の上旬。

それでもその日は、まだ夏のように暑かった。

今の場所から駅までは歩いて10分。

幸子は2人の時間はあと10分かなと考えたところで、

ある疑問が浮かんだ。

話さないのはどうしてだろう?

本当は私に何か話があるんじゃないか?

ひょっとしたら私に気があるのかもしれない。

根拠はそれほどない。

「私を誘ったこと」と「考え事をして何も喋らない様子」の2つだけだ。

それでも幸子は急に鼓動が激しくなった。

だがそれは緊張ではなく高揚だった。

幸子は心の中でつぶやいた。

ずっとこのまま何も話さないなんておかしい・・・と。