―ショ-トメ-ルか・・・―
この感覚に、相変わらず慣れが聞かないなと自嘲しながらもメ-ルを開く。
「っ・・!!?オ-ヴァン・・・」
タメ息にも似た独り言は、吹き抜けていく風だけに知らされていた。
文面は短く記されていた。
―来い。―
・・・と。
エリアも目的も記されていないメ-ル。
それでも、これを送った彼、オ-ヴァンが何処に居るのかが解る。
志乃の時ですら感じなかったというのに。
少し物思いに耽っていると、またしてもショ-トメ-ルだろうか?
それを見ると・・・あ~・・・・。と、今度はタメ息をついた。
「せっかちだな。アンタ・・・今、行ってやるよ。」
そして、あの誰もが恐れる『死の恐怖』の微笑を引き出せるのは、
あの男。
オ-ヴァンだけだというのは、またオ-ヴァンしか知らぬ所だ。
「・・・・・」
マク・アヌとは、また違った光景に瞳を奪われる。
いつ来ても此処は・・・。
ジャリ・・・・―――
かすかな物音にPKKの『死の恐怖』としての神経が働いたのか、愛刀を構える。
「久しぶりだというのに、結構な歓迎の仕方だな。」
「あ。・・・・・・・・・わりぃ。」
「いや。構わない。ハセヲ・・いや、『死の恐怖』と言った方が良いか?」
久々に逢ったというのに、変わらない彼の言動。
その事に、ハセヲは嫌な胸焼けを覚えた。
「うるせぇ・・」
悪態をつくハセヲを目の前に、オ-ヴァンは瞳を細めた。
そして、あの初期の頃に初めて逢った時から。
「変わっていないな・・・。」
「?」
首を傾げ、オ-ヴァンを見やると、
自分に向けられた優しい微笑みに思わず、鼓動が高鳴るのを感じた。
「そういう・・・顔を背けるのも。」
「っ!・・・てめ、降ろせよっ!」
「悪いクセだ。」
唇に触れる、柔らかい感触を味わう様に、
ゆっくりと触れ合っては、また離れる。
その感覚についていけなくて、
ハセヲは抱き上げられたオ-ヴァンの腕に、軽く爪を立てた。
この爪を立てるのがハセヲの合図だ。
「・・・立てるか?」
「・・・バカにすん・・っ!!!」
意地を張るも、身体は正直と言った所だろう。
オ-ヴァンは、くつくつ、と満足気に喉を鳴らした。
またしてもハセヲは顔の温度が上がっていくのが解った。
こうやって、からかわれるのが彼にとって最大の屈辱だというのが解ってやっているのだ。
意地の悪い男だ。
「その意地の悪い男に抱かれたのは、何処の誰だ?」
「!!!!」
胸内で思っていた事が、いつの間にか口に出ていた様だ。
「なぁ・・ハセヲ。」
「・・・んだよ?」
いつになったら、この男を越えられるのだろう。
「夜は長いぞ?」
「!!!!!」
ハセヲがオ-ヴァンを越える日は、まだ遠い未来なのだろうか。
またしても火照った顔を誤魔化す様に、そんな事を考えていた。