小説家シリーズで、ちょっといいなとは、思ったんだけど、
なかなか「ドカーーン」と来るのがなかったの。
一応買ってはいたんだけど、350ページ以上あったので
読むのを後回しにしていた「年下の彼氏」
もうね「やっときた----っ!!!」ってかんじ。
お話としては、淡々と穏やかに進んでいくんだけど、
心情描写のうまいことうまいこと。
お互いに片思いしてて、割と早い段階でカップル成立。
カップルになって、蜜月のはずなんだけど、
受氏「楓」はいつも「いつか来る別れの予感」に捕われている。
攻氏「涼平」はワンコ属性で、とにかくベタベタに惚れてるんだけど、
どこか危なっかしくて、綺麗な楓をつかみきれなくてジリジリ。
いい大人のはずなんだけど、なんだか初々しい。
年上の受け氏が「自分といると、彼の将来のためにならない」
って思い煩うパターンは、もはやBLのテンプレなんだけど、
ともすると、相手の気持ちを考えずにただの傲慢になりかねない。
そこらへんのさじ加減が実にうまいのと、周りの人間が書き込まれてて、
凄く読み応えがある。
350ページの長さを感じさせない。
まあ、もともと文章はうまい人なんだけど、
とにかくこの作品は「じっくり、丁寧」に書かれてあって、
凪いだ海のような読後感。
穏やかな、優しい気持ちになれる一冊だった。