友人のお勧めで「月を抱いた」を読んでから、ずっと新刊買いしている。
殆どが、ミステリー仕立てで、サスペンスドラマばかり。
おまけに暗い。
死体はゴロゴロでてくるし、ヘビーな過去を背負ってる人間ばかりだし、
なにより、登場人物がネガティブ志向。
でもね、なんだか癖になるの。
そのネガティブさに思わずかまってしまいたくなる。
それにしても、2時間サスペンスみたいなのは愁堂さんがお得意だけど、
夜光さんの場合は、それにおどろおどろしさがプラス。
とにかく「死」やら「事件」やらと無縁の作品は殆どない。
最新作「夜を閉じ込めた館」はその中でも猟奇風味をプラス。
雪に閉じ込められた館で次々に起こる連続殺人……
誰が誰を殺したのか、過去の殺人事件の真相が徐々に暴かれていく。
とまあ、横溝作品のような展開で、BL小説としてはなかなかに重い。
今回は「ドールハウス」をとても効果的に使っているのと、
「血の通っていないジョージ」の描写が上手かった。
夜花節は相変わらず絶好調のようだ。
この作品イラストが小山宗佑さんという20代の男性。
BLのイラストは初めてというがなかなかきれいな色使いで、耽美タッチ。
ただ、文中のイラストは、「少々体形変じゃない?」と思えるものもあったが、
独特のタッチは「ネガティブで淫靡」な文章とマッチしている。
これからも描くらしいので、BLに耐性ができて練れてくるのがとっても楽しみ。
それにしても夜光さんは、設定が上手い。
主人公だけではなく、周囲の人間のバックボーンがしっかりしているから、
「殺人」という非日常が成立する。
もちろん少々理由付けが弱かったり、「ありえなーい!」ということもままあるけど、
「ま、細かいところはいいか」と思えてしまう。
コメディタッチの作品は、同人誌であるにはあるけど、これが全然面白くない。
この人の作品はやっぱり、ネガティブで淫靡!!
夜光作品は、BL小説にサスペンスジャンルを確立したといえる。
これからもペンネームのイメージそのまんまの作品を書いてほしい。