BL熱再燃のきっかけになった「二人のはるひ」さんの一人。
山藍さんや、飛沢さんといった、少数の作家を追いかけていただけで
その他の作家さんは殆ど読んで無かった時期、雑誌「ラキア」で最初に読んだのが「虜」
(これは最近、小路さんのイラストでプラチナ文庫から出版)
それから興味を持ってまずブックオフで何冊か購入。
すっかりはまりコンプリート。
このときも崎谷さん同様「こんな凄い作家さん知らなかったなんて!」と思ったね。
作品数は既に70冊を超える、BL作家さんの中でも多作。
執筆だけでは食べていけないBL小説の業界で、崎谷さんと同じく数少ない専業作家。
「今週のベストセラー」で一般誌と並んでタイトルが上がる事もあるから、その人気は押して知るべし。
一番人気は4巻で完結となった「情熱シリーズ」
青年実業家×やくざの元囲われ美青年 円陣さんのイラストも素敵な不器用な大人のお話。
これはスピンオフ「艶悪」が継続中。こちらも楽しみな作品。
遠野さんの作品の特徴として、色んな場面、登場人物、事件が、作品、出版社を超えてリンクしている。
かなりの作中に出てくる「ミスティーブルー」という店はその代表例。
はっきりそれとは書かずに、分かる人だけ分かればいいわって書き方のときもあって
気づいたときには、思わずにやりとさせられてしまう。
私の一番のお気に入りは「茅島氏シリーズ」
庭師×御曹司 なんだけど、この御曹司「茅島氏」が不思議な魅力たっぷり。
この茅島氏も色んな作品にちょこちょこご出演していらっしゃいます。
茅島氏相手だと皆敬語になってしまうのです。
ただ、この作品、イラストの史堂さんの作風が変わる時だったようで、
途中で、とんでもない馬面になっているのがものすごーく残念。
史堂さんの気品のある茅島氏は、もちろん合っているんだけど、1巻~3巻で別人なんだもん。
この作品はいくらでも続けられるので、いっそイラスト一新で新装刊、以下続刊ってことに
なってくれないかと密かに願っている。
さらに、「真夜中の微熱」で本編の主人公より気に入ってた主人公兄カップルが
スピンオフ作品として、書き下ろし出版も決定したようだし、
まだまだ良い作品を送り出してくれるのは間違いない。
近刊はシャイノベルズから「貴族は華に悲恋を捧ぐ」
貴族シリーズとして太洋図書から出ている作品の最新刊
石原さんのイラストがピタリと嵌ったしっとりした作品。
相手の気持ちが分からなくて、身体だけのつながりだから・・・
とか思い込んで、勝手に切なくなったりするのはBLのお約束だけど、
切なさをあおったり、けなげさを出そうとする余り、人として問題があるほど
コミュニケーション能力が欠如していたり、頑迷としか言いようが無いほど思い込みが激しかったりと
少々無茶な設定をする作家さんが増えてきた中、遠野さんの作品は説得力あり。
似たようなシチュエーションやすれ違いを作っていても、無理がなく、きっちり読ませてくれる。
やはりこれは「さすが遠野さん」といってもいいでしょう。
もともと長編向き作家さんなのか、最近は「ページ数が足りないんじゃ無い?」
と思える作品もあるけど、まず「ものがたり・小説」としてきっちり読ませてくれる。
玉石混交のBL執筆業界で、確実に頭ひとつリードしている作家さんだと思う。
これからも新刊作家買いは間違いの無いところ。