今更説明する必要もない、耽美の女王 山藍さん
まだ商業誌デビューする前、同人活動をしていた頃からファン。
「バイオレットスキャンダル文庫」(三悶秘小説集)と銘打った作品なんか、
奥付見たら「昭和」だったよ。
この方の小説を買うためだけに「晴海」に行ったもんだ。
かつて「小説JUNE」の小説道場で、栗本薫に「『快美感』なんて言葉はない、勝手に作るな」
みたいなことを言われていたけど、今や他の作家さんが普通に使ってるもんね~。
とにかくそのストーリーは、もはやBLの枠を大きく超えている。
いわゆるBLお約束の「一棒一穴・純愛主義」なんてものを期待すると大きく裏切られる。
そういえば両性具有物にスポットをあてたのもこのお方。
でも、もちろんどの作品にも愛はきっちりあるから、読後感が悪い作品はない。
最近は昔の作品が次々に新装版になって出ているもんだからちょっと大変。
「虹の麗人」なんて同人含め四冊はある。まあ、読み比べるのも面白いけどね。
そういえば、まだ物語としては途中になっている「闇の継承」「長恨歌」「スタンレー・ホーク」
続きは出るのでしょうか? とってもとっても読みたい!!
もちろん、これだけ長く書いていると、作品数も多くなり、少々外れもあるけれど、
それでもテンプレートどおりのBLでないものをがっつり読ませてくれる。
近刊の「トライアングル」はシリーズ最新刊、
「背徳の聖者達」「オム・ファタール」に続く第3巻。
「同害報復法(レックス・タリオーニ)」の元に組織された、復讐代行社「タリオ」を
舞台にした、結構ハードなお話で、まだまだ続刊ありの予定。
前2作はダリア文庫で新装版も出ている、多少の加筆はあるようだけど、
以前「花夜叉」が文庫で再出版となったとき、殆ど加筆修正無しだったので
今度はあわてて飛びつかず、古本待ちをしている。
……… って、やっぱり悲しきコレクターの性か、買う気なのね、私。
このシリーズには他に、BLではなく、普通の文庫に書き下ろされた作品もある。
祥伝社文庫「邪香草」というアンソロジーで、タイトルもズバリ「タリオ」という作品。
桜庭さんと鷹司さんがターゲットを引っ掛けるために、ゲイの別れ話の修羅場をちょっとだけ演じてる。
短編ながらなかなか読み応えのある作品。
SFバカ本とか、BL以外でも書いているけど、どこで書いても必ずBL要素はたっぷり盛り込んでくれてる。
何年たってもパッションを持って創作してくれる、希代のストーリーテラー、
名実ともに女王様とよべる作家さんです。