第1話 家二郎に挑む者
ということで今年も禁断の二郎錬成に挑みます。
今までも数々の術師の研究書を読み漁り、
去年はついに豚骨と背脂まで手に入れ、
それでも跳ね返されてきた高い壁。
かつてテレビで自らの研究成果を披露した術師は、
その後、二郎直系の店で助手になったと聞く。
僕にその気は全くない。疲れるから。
あくまでも私利私欲のために挑みます。
そして気になる研究書を試すことに。スープの材料は、
鶏がら、豚ブロック、玉ねぎ、ニンジン、ネギ、生姜、ニンニク、背油。
…鶏がら?二郎は濃厚な豚骨スープのはず。
そもそも僕の研究は根本から間違っていたのか。
でも鶏がらで出来るならハードルは一気に下がる。
そして錬成開始から数時間、あの瞬間を迎える。
「小のお客さん、ニンニク入れますか?」
「ニンニク、アブラで。」
1人コールこそ家二郎最大の醍醐味。
気になるスープは豚の旨味は出ているけどやはり鶏がら。
でも色など見た目、味の完成度は過去最高かもしれない。
要するに、これはこれでいける。
いつも結論がこうなるから進歩しないのか。