「安定を求めてベンチャーに!?」 | オプトHLD CEO 鉢嶺登 オフィシャルブログ

「安定を求めてベンチャーに!?」

私は安定を求めてベンチャーを始めた!」
そんな馬鹿な!と思われるかもしれないが、真剣にそう思って起業した。

普通に考えると安定の順序は以下の通りとなる。
公務員>大企業>中小企業>ベンチャー企業

私は1991年バブルの頂点で社会人になり、以後20数年、社会人をやっているが、大企業が安定しているとはこの20年を振り返って全く思わない。当時都銀は13行もあったが今や3行。航空会社も3社あったが、つぶれていないのはANAのみ。大学の友人達が入った大企業もリストラの嵐。実際、統計でも新規雇用の87%は成長企業が生み出しているとあり、成熟した大企業は社員を増やしていない事が分かる。

私が一番ショックだった出来事が上場前の2000年代前半にある。その頃は大企業から研修と称して社員が出向される制度を使っていた。ある年日本を代表する大企業から32歳の優秀な若者が派遣されてきた。

私が「どうして自ら手を挙げてオプトに来たの?」と聞くと、その若者の答えに衝撃が走った。

「私の会社は誰もが知る大企業で、先輩は一流大学出身の優秀な方ばかりです。しかし、頑張っても頑張らなくても会社の収益はほとんど変わらない。そうなると、皆「100の力」があってもセーブし、「70の力」で働くようになっていく。そんな中、いざという時には「70」がその人の力になっているのを見て怖くなったんです!」

これを聞いて、私は「日本にとって大きな損失だ!」と思いました。
本来、次代の繁栄を築く会社にこそ、優秀な人材は配属されるべきなのに、誰がやろうが変わらないような仕事に優秀な人材が就職していると。

それでは「真の安定」とは何だろうか?
それは自分に力をつけること。大企業だろうが、中小企業だろうが、日本だろうが、海外だろうが、将来に渡り乞われて仕事に就けるよう自己成長に投資をし、鍛えることこそが真の安定だ。そして自己成長に最も適した環境こそ成長ベンチャー企業だと思う。

これは決して我田引水ではなく、心からそう思う。先日も早稲田大学ベンチャー稲門会でパネルディスカッションを行いましたが、一緒に登壇したリンクアンドモチベーションの小笹社長はリクルート、メンバーズ剣持社長はジャフコ、私は森ビル出身と、大学卒業後、いずれも当時の成長ベンチャー企業に入社していました。

組織がどんどん大きくなり、部下がどんどん増える。覚える仕事が勝手に増えていく環境ゆえ、自分で勉強すべきことが増えていく環境。否が応にも成長せざるを得ない。

しかも、例えばデジタルマーケティングのような成長分野であれば、今後ネットで活動するあらゆる企業から自治体、個人に至るまで、そのノウハウを必要とするために長い目で見ても引く手数多。目先の給与や福利厚生は成熟した大企業に劣るかもしれないが、長い目で自分の生涯価値を考えた時、どちらが付加価値が高いか?どちらが時代の要請、社会貢献度が高いか?

「真の安定」とは何なのか?

固定概念や周りに流されることなく、自分なりの価値観で定義し、会社選びをして欲しいし、「自分は優秀だ!」と自信がある人こそ、誰がやろうと変わらない会社ではなく、将来の繁栄を築くイノベーティブな会社へ行って欲しいと心から願います。


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