国家と企業の繁栄、衰退、貧困の起源(上) | オプトHLD CEO 鉢嶺登 オフィシャルブログ

国家と企業の繁栄、衰退、貧困の起源(上)

非常に示唆に富んだ書籍。
大前研一氏におススメされて読んだ。

国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源

ダロン アセモグル (早川書房/2013-06-21)
$オプトCEO鉢嶺登オフィシャルブログ-国家はなぜ衰退するのか

50年前も、150年前も富裕国は富裕国であり、貧困国は貧困国。
様々な説があるが(熱帯地域は貧困等)、結論的には権力を握る既得権益者が富を収奪する国は貧困国であり続け、創造的破壊が起き続け、頑張った人(全国民に権利がある)が利益を得られる政治的、経済的仕組がある国は繁栄すると。

イギリスや米国が裕福なのは、権力を握っていたエリートを国民が打倒し(打倒だけではダメで大概がエリートが取って代わるだけ)、政治的権利が広く分散され、政府が国民に説明責任を持って敏感に反応し、国民の大部分が経済的機会を利用できる社会を創造したからであると。

「私有財産を奨励し、契約を擁護し、均等な機会を生み、規制を撤廃し、新たな事業参入を促すこと」。これこそが繁栄の方法であることは歴史が証明している、と。

最も分かりやすい事例は朝鮮半島。
1950年の朝鮮戦争後、南北に分断され、北はソ連、南は米国に則る形で統治が進む。北朝鮮は統制経済で一部の限られた権力者が全てを収奪する一方、国民は頑張っても全て吸い上げられるためモチベーションがなく、結果国家は衰退していく。一方南の韓国は米国型資本主義を導入し、政治的にも民主主義を導入し、国民一律に教育投資を行なう。結果は明白だ。

韓国の光と北朝鮮の闇の写真
(衛星写真で見ると北朝鮮に全く光がない事が分かる)
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そしてまた繁栄を呼ぶ2つの大きな原動力が「テクノロジーの進歩」と「教育」だと。生産性増進のためのテクノロジーの進歩やイノベーションへのモチベーションは繁栄には不可欠。また高い識字率と通学率により国民全体の教育レベルを上げることも重要だと。

これらは国だけでなく、企業にもある程度当てはまると思う。
・頑張れば頑張っただけ収益が上がる仕組
・政治的、経済的仕組を創った企業は伸びる
・テクノロジーの進歩と教育への投資が企業繁栄にも肝要
・既得権益企業が次代の繁栄を妨げる など

心して企業経営にあたりたい。