辻村深月さん『傲慢と善良』
読了しました。
去年映画化されとるんですな。
恋愛小説とも婚活小説ともとれるけど
本当は自分や他人を評価する
価値観を問うてくる重めの話。
婚活なんて
相手のこういうとこ好き
こういうとこピンと来ない
ここは妥協できる
ここは譲れない
お互いに友達探しじゃない
生涯のパートナーを選ぶ行為だから
入り口ではそうやって勝手な印象で
他人を勝手にジャッジするしかない。
でもこの話は
そのジャッジの奥にある傲慢さを
婚活だからというベールを剥がして
つまびらかにするある意味怖い話![]()
ちょっと待て![]()
他人にどうこういう前に自分はどうなの?
と省みる視点を要求されるような
気軽に読んじゃダメなやつでした。
ピンと来ない、の正体は自分につけた点数。
それに見合う点数を持たない相手に持つ
この人じゃない感覚が「ピンと来ない」
というシーンがあります。
えー
でも
よくない?
自分を高く見積もったら傲慢?
低く見積もったら傲慢じゃない?
自分と見合うかどうかよりも
好ましいと思えるかどうかという側面で
判断できたら善良?
でも感覚や気持ちは
そんなに綺麗に整理出来ないもの。
キス出来ないって感覚だって
あって当たり前だと思うし
受け入れられる/られない
好き/好きじゃない
あって当たり前。
ピンと来ない部分を
バカにしたらそれこそ傲慢だけど
相手を値踏みするのは自然なのでは?
最終的に
信頼できる人に出会いたい
支え合って生きていきたい
あたたかい家庭を築きたい
それぞれの幸せを掴みたい気持ちで
婚活ってするものだと思うから
その過程で
この人とそうなれるだろうかと
迷い悩むこと自体を傲慢と言われたら
婚活なんて成り立たなくなってしまう。
とか感じながら読みました。
とはいえ別に傲慢=悪、善良=正
と批判的に断じた話ではありません。
ただ傲慢という言葉の響きが強いので
良いじゃん
ちょっと傲慢になってみたって
という気持ちになったという感想です。
前半は男性側、後半は女性側からの視点で
真相が後半見えてきます。
結婚したい二人の
壮大かつ大真面目な茶番劇
といったところでしょうか![]()
でも、分かる、気持ちは。
★★★☆☆
