読了。
ラブホテルのお話です。
北海道の山中にたつ
廃墟と化したホテルローヤル。
時代をさかのぼりながら
そこにまつわる人々を描いた
群像劇でした。
登場人物の誰ひとりとして
裕福で人生に満足した
成功者が出て来ません。
自分がつかめる範囲内での
幸せの中で生きている。
(もしくはつかみ損ねている)
つつましい人々の話。
さかのぼりながら、という
設定が面白かったです。
頭の中でホテルローヤルが
じょじょに廃墟から蘇っていく。
時代背景も40年くらい?
結構なスパンで戻っていくので
頭の中の映像も
どんどん昭和がかった
風景に変わって行きます。
そしてホテルや登場人物の末路を
知りながら
それに至る過程を追っていく。
この人達のつかむ幸せが
世間で言う幸せとは
全然イコールになっていない感じが
なんとも淋しい雰囲気を
醸し出しています。
さかのぼりながらという設定上
1話目のカップルだけは
末路が分からないわけですが
この二人の行く末も
なんとなく想像がつく。
ホテルローヤルの廃業を決めた
田中雅代の話だけは
なんとなく明るいその後を
想像しても良いような余地を
与えられている気がしました。
明るくわかりやすい話が好きですが
こういうのもたまには良いな。
面白かったです。
★★★★☆