第78回日本選手権競輪@いわき平競輪場
今年の決勝メンバーは以下の通り。

①古性優作(大阪)
②平原康多(埼玉)
③清水裕友(山口)
④吉田拓矢(茨城)
⑤山口拳矢(岐阜)
⑥諸橋愛(新潟)
⑦武藤龍生(埼玉)
⑧小林泰正(群馬)
⑨岩本俊介(千葉)



周回中の並びは
④②⑦ ① ③ ⑤ ⑧⑥ ⑨

レースは残り3周3コーナーで
⑧小林-⑥諸橋の上越ラインが上昇。
単騎①古性・③清水・⑤山口もこのラインにのっていくが、
⑨岩本は茨城-埼玉勢の背後を選択。

古性は赤板2コーナーで3番手を確保する動きをみせると、
その上を上越ラインが押さえて先行勝負へ。

打鐘からペースが落ちて最終ホームから
上越ラインが先行するのにあわせて茨城-埼玉ラインがカマシ。
これがズバリ決まり、④吉田-②平原-⑦武藤の3人が
最終バックであっさり前へ。
岩本はこの3人を追いかけるが、自力に切りかえた諸橋と併走。

後方の単騎勢は仕掛けることができないまま最後の直線。
番手から平原が抜け出して、
4年ぶりのGI制覇は悲願のダービー初V!

2着には終始 茨城-埼玉勢を追走した岩本俊介
古性優作は後方7番手から
何とかコースをみつけて急追も3着におわった。


第78回日本選手権競輪 決勝 決定
1着②平原康多 [差し]
2着⑨岩本俊介 [差し]
3着①古性優作



グロインペイン症候群という股関節の痛みに悩まされ、
落車も要所で経験し、選手人生の底
落ちてしまいそうだった平原康多
2年ぶりのS班復帰へレースでサポートしてくれたのは、
ほかならぬ関東勢の自力選手たちだった。

今年に入ってGIII決勝で関東4車/5車の結束が多く目立ったが、
いずれも関東勢から優勝者を出せずにいた。
今回の決勝は別線勝負とは言うものの、
“デジャヴ”が起こるかに思われたが、
小林泰正が打鐘からペースを落としたことで、
吉田拓矢のホームカマシの“呼び水”に。

吉田ラインを追走した岩本俊介以外の
単騎勢を後方に追いやる“5車の結束”を体現し、
平原復活優勝の足がかりを見事に作ってみせた。


これまでの平原は若手がいれば前を託すものの、
基本的には自ら自在に立ち回ることが多かった。
しかし昨今の競輪のスピード重視の流れに
平原のもつ自在性がマッチしなくなり
そこから自身のバランスを崩したことで
昨年の落車の多発につながっていた。

そして眞杉匠&坂井洋&吉田兄弟のぞく
関東勢のふがいなさ自身の脚力を考えて、
ライン選択において他地区の自力との連係
真剣に考えることも多くなった。

自身の苦しい流れ
奮起しない埼玉&関東勢

平原は終わってしまうのか…


その流れを変えたのが眞杉であり吉田拓矢であり、
普段からグレードレース戦線で活躍する
関東の若手自力選手たち
だった。

眞杉は平原のために積極的な走りをみせ、
吉田拓矢も決勝では積極果敢なカマシを打った。

グレードレース戦線で活躍している関東勢は
誰もがみな平原の復活を願っていた
だからこそ、連日攻めの走りをみせたのだ。


その思いに平原が応えないワケがない
仲間の思いに支えられ、
決勝では直線しっかり抜け出して復活のVゴール

2年ぶりのS級S班復帰を見事決めたのだった。

これで平原自身の流れもまた良い方向へ戻ってくるだろうし、
眞杉&吉田拓矢&坂井洋としった
イキのいい関東自力選手たちも
平原の良い流れに続くことができるだろう。

関東復権へ
総大将メインステージへと戻ってくる。



さて敗れた単騎勢位置取りがすべてだった。
昨年のKEIRINグランプリでも
しっかり位置をとった深谷知広が2着。

今回の決勝も「最終先行は吉田拓矢」と読んだ
岩本俊介がしっかり吉田ラインを追走したことで
2着という最良の結果を残した。

古性優作は勝負どころインに包まれそうになるも、
意地でコースをみつけて3着に食い込んだのは
BMXからの経験値があったゆえか。

かたや状態がよかった清水裕友
準決勝で“実力を取り戻した”山口拳矢
赤板で中団にこだわったことがアダとなった。
後方に置かれて万事休す
“関東5車”の後方では勝負にならなかった。



次回GI高松宮記念杯競輪@岸和田
“雨の宮杯”。今年はどうなるだろうか?