「ゼンタイ ZENTAI」
撮影照明 上野章吾
録音 小川武
音楽 Akeboshi
助監督 松永大司
出演 ワークショップに参加した41人の俳優たち
橋口監督の映画、「渚のシンドバッド」「ハッシュ」「ぐるりのこと」映画館で見ている。
(「二十才の微熱」だけはビデオ)
監督の映画はいまだこれだけ。寡作。
しかしどの映画もぐぃっと、体にめり込み、忘れ難いものになる。
その証拠に、何年たっても印象的だったシーンをいくつも頭の中で蘇らせることができる。
今まではたいてい一人で鑑賞して、電車の中で「はぁ~、映画って
ホント~いいものですね~」的な思いを胸一杯に抱えて帰途についていた。
今回同行するは、私よりもっともっと橋口監督愛の強い彼女。
上映時間よりちょっと早めについた劇場前で、とてもラフな恰好でふらふら
歩いていた監督をいち早く見つけたのも彼女。
そう、トークショーのために監督は劇場にいらしてた。
上映時間が近づくと、全身タイツを身にまとった監督が呼び込みをされていた…
そんなスペシャルな状況でみたこの「ゼンタイ」。
やはり橋口監督、間違いなし!
とても面白かった。映画が終わって隣の彼女と顔を見合わせてお互い出た言葉は
「面白かったね~~!!」
監督が人を人間を男を女をどう見たり感じたりしているのか、その視線そのものが、
作品ゼンタイからびんびん感じられるのだ。
「こんなふうに楽しんだり苦しんだり、くだらなかったりしてるもんじゃん」
「もっともっと自由っていうこと考えていいじゃん」
「いろいろアバウトじゃん」 こんな風に私には伝わってくる。
そしてそんなメッセージを受け取る一方、こういう表現をする監督に対して
「真面目な人だな~もっと楽にされたらいいのにな~」という気持ちも起きる。
感じやすさ、優しさ、戸惑い、不安定さといったもの、そしてそれらを
細やかに表現する粘り強さ。監督の肉体や心から、映画が生み出されている。
楽にされたらいいのにと思う一方、やはりそれを糧に作品を作って欲しいとも思う。
全身タイツを着用することを愛する「ゼンタイ」の人びと。その人々が
ゼンタイを身につけない時の日々の様子がオムニバスとして展開される。
皆それぞれ様々なところで仕事をしたり、趣味に興じたり、おしゃべりしたり、
酒を飲んだり何だりしている。
その人々がいざ、ゼンタイを着用すると…
細かい解説は無しにします。
観る楽しみがなくなったら大変!
映画館に行ったり、監督のトークショーを聞いたり、パンフを買ったりした方がいいです!
製作費220万円、撮影三日間の映画。
お金がなくても面白い映画はできるという見本のような映画。
監督の作家性、そしてとても自然なカメラワークや音。
そしてもちろん役者たちの集中とそれに伴う表現力。
ものすご~く、創りあげられております!!
トークショーの最後に監督「今年中にもう一本撮ります」
って言っていましたよね?(ここで書いていいのか不明ですが)
是非是非是非!