『ルナティックス~月を遊学する~』1993年
ここ一週間、日中に外に出る仕事が続いていました。
目的地まで地図を見ながら行く。
昨年も練馬区の住宅街、お昼時、炎天下、人っ子一人歩いていない中で
道に迷った時には恐怖を覚えたものでしたが、今年はその教訓を基に
飲み物、日傘に加え、首の後ろを冷やす保冷剤付きのネッカチーフを装備して
臨みました。
しかし…三日前、埼玉北部、いわゆる日本で一番暑い地域の近くを、
駅を出て、広い道路の脇の歩道、焼け焦げたアスファルトの照り返しを受けて
15分程度歩いていた時は息苦しく、自然の力の凄さに圧倒され生命が脅かされる感触
を体で感じました。
太陽っていうのは本当にすごいパワーなんだ、人は自然の前には無力な存在だな、
っていう当たり前のことがリアルになる瞬間でした。
でもさ、夏はやっぱり嫌いではないんだな。
だって夏休みがあるし、いろいろな意味で非日常だから。
でも、太陽は怖い、、って思ったのに、月は怖いって私は思ったことないな。
今日紹介する本の帯には「月が僕につきまとう。何かよい薬はないものか。」
とあります。月に魅せられた人の、のろけ話みたいな風にも聞こえますが。
そういえば、小さい頃月に追いかけられる夢を見たと言っていた人もいたな~
太陽は強烈な存在だけれど、月は夢や幻を与える存在のような気がする(実際には物理的、科学的にもいろいろな役割を果たしているわけだけど)
そんな月にまつわる、言い伝え、神話、物語、絵、音楽、その他もろもろを、博覧強記の
松岡さんが一つの本に編んだのがこの本です。
ちょっと「お月さま気分~」という時にパラパラ見ます。
今回も手に取って見たら忘れていた思いがけない発見があった。
日本画の月と西洋画の月の描き方の違いを論じているところで、前に
MOMA展の時に紹介したジャコモ・バッラの「アークランプ」という絵の解説がされていた。
MOMAの図録ではこう↓
ふむふむ、やはり好きな物はつながっておる。
この絵はよく知らないけど好き、とその時のブログには書いていたけれど、
バッラさんは未来派という芸術グループに属し、なかなか革新的なことをしていたらしいです。
ランプという人工の光。それと対峙する月の光。
新しい文明がはじまるぜっ!ていう勢いがある絵なのでした。
そしてもちろん花鳥風月と愛でられる日本の月。
浮世絵師の見た月。
↑左、歌川広重や歌川国芳の描いた吉原の月。
吉原と月の組み合わせはさまになりますね~
最後もういっちょ紹介。
この絵は自分でも模写できると学生時代真似して書いて机の脇に貼っておいた。
この絵にもとても魅かれたな~
ルナティックは月球的とも訳すけれど、狂気的とも訳される。
またルナシーって、日本のバンドの名前にもあったけれど、
古代ローマから使われていて、「ちょっとおかしい」という意味だとか。
月に魅かれるって、私の必然?
そんなことを考える熱帯夜なのでありました。