あたしは今日も

歩きたての子の

手を握り

お散歩に出かける。

 

この子の見る景色は

どういう風に見えているのだろうか。

 

不思議の国のアリスのように

全てが大きく見えてるのだろう。

 

そんな我が子のことを考えながら

お父さんお母さんの気持ちを考えた。

 

あたしがちょうど我が子の歳の頃

父と母は離婚をした。と聞いた。

 

母は不安もあっただろう。

父はもう毎日一緒には居れないあたしのことを思い出し悲しんだろう。

だろうだろうと想像しか出来ないけど…

そうであって欲しいと思う。

 

 

 

母が里帰りを終えても

実家に入り浸る母。

しばらくして

ちょくちょく帰る実家から

朝帰ると

父は事を終えた後

会社の女性と一緒に

母と父のベッドで寝ていた。

 

そして逃げる女性をあたしを抱きかかえ追いかける母。

 

 

「どういうつもりですか?」

「●●さん(父)に誘われて…

家庭を壊す気はありません」

 

そんなやりとりをした後

母は怒りのまま父を責めた。

 

そして養育費3万円と決めて

両親は離婚をした。

 

小さいあたしのことを父は裏切った。

不倫というそんな汚らわしいことで

家庭を壊して…

 

その時のことを覚えてないけど…

 

ここからあたしは地獄に落とされる。

 

物心つくころには母に良く言われた。

「あんたのお父さんにそっくりで

可愛くない」

「あんたなんか産まなければ良かった」

 

お母さんの目には憎いやつの子として

あたしは見えていたのだろう。

 

あたしはお母さんの子供なのにね…

お母さんから生まれたのにね…

 

 

 

 

我が子は今日もつたない言葉で

「ママ」とあたしを呼ぶ。

小さな手でしっかりあたしの手を

握って来る。

そうして我が子と目を合わせ

笑って、彼女の歩幅ほんのちょっと後ろから

ついていく。

そんな散歩道。