
繁華街を抜けると、いつの間にか山へ続く道に出ていた。何かに呼ばれるように坂道を登っていくと、提灯の灯りと屋台の賑わいに包まれたお祭りのような場所へ辿り着いた。
そこで立ち尽くしていると、幼馴染が現れた。
「いっしょにいくか」
そう言ってくれたので、一緒に歩いて神社へ向かった。並んでお参りを済ませ、これから一緒に祭りを回るのかと思ったが、彼はあっさりと言った。
「彼氏といっしょに回るから」
その言葉を聞いた瞬間、周囲は賑やかなのに、自分だけが取り残されたような孤独を感じた。
なんとなく近くのカフェへ逃げ込む。
席に着くと、なぜか隣には父親がいた。
会話をするわけでもなく、ただ同じ空間で時間を過ごしていた。すると突然、前の席に可愛いギャルが二人座った。
「座っていい?」
返事を待つこともなく座り込み、次々と話しかけてくる。
しかし流行の話題についていけず、会話は微妙な空気になった。
困って父親を見ると、なぜかジーパンのファスナーと格闘している。
ギャル二人は盛り上がり続け、父親は必死にジーパンと戦っている。
どうすればいいのかわからなくなり、
「帰りたい」
そう思い始めた頃、父親が突然立ち上がった。
「なかなか閉まらないと思ったら、後ろに閉めるタイプだった」
そう言いながら、お尻の上までファスナーを上げて満足そうな顔をしていた。
ますます意味がわからなくなった私は、トイレへ避難した。
すると隣に立った高身長のイケメン男性が話しかけてきた。
「お兄さん、帰るの?」
「そのうち帰ります」
そんな会話をしながら並んで用を足していると、彼は不敵な笑みを浮かべて言った。
「帰ったら、あの二人ナンパするんだよ」
席へ戻ると、なぜかその言葉に背中を押されたような気がした。
さっきまで話せなかったはずなのに、今度はギャル二人と自然に会話が弾んだ。マシンガントークで盛り上がり、笑い声が絶えない。
父親もどこか満足そうに座っていた。
楽しい時間はあっという間だった。
「じゃあね」
そう言って別れ、家路についた。
そして後日。
再びそのカフェに用事があり立ち寄ると、あのギャル二人が座っているのが見えた。
声をかけようと近づいた、その瞬間――。
目が覚めた。
結局あのイケメンは本当にナンパしたのだろうか。
父親のファスナーはなぜ後ろに付いていたのだろうか。
そして、あの祭りは何だったのだろうか。
答えはわからない。
ただ、どこか寂しくて、どこか温かい、不思議な夢だった。