政府の一億総活躍国民会議(議長=安倍晋三首相)は26日、緊急に実現すべき対策を決定し、発表した。対策では、既に示されていた「2020年代初頭までに、約40万人分の在宅サービスや施設サービスを整備する」とする方針をさらに強化。20年代初頭までに整備する目標を10万人分増やし、約50万人とした。また、用地確保が困難な都市部については、施設の規制緩和や国有地の活用などで整備を促進する方針も示された。

 緊急対策では、国民一人ひとりが活躍できる社会づくりを進める上での最重要課題として、介護と仕事の両立が難しい状況の克服と、結婚・子育ての希望を実現しにくい状況の克服を提示。その克服に向け、「希望出生率1.8」と「介護離職ゼロ」を目標として掲げた。

 このうち、「介護離職ゼロ」の実現に向けた具体的な目標として、20年代初頭までに新たに介護施設や在宅サービス、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を、新たに約50万人分整備する方針を掲げた。整備対象となるサービスとしては、特別養護老人ホームと介護老人保健施設、特定施設、認知症グループホーム、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、定期巡回随時対応型訪問介護看護が挙げられた。

■都市部での国有地活用やサ高住の整備加速も

 また、用地確保が困難な都市部などでのサービス充実を図るため、「賃料減額といった国有地の更なる活用」や「用地確保に係る負担を軽減するための支援」を充実させるべきと指摘。既存資源を有効活用するための建物改修や複数の介護サービス基盤の合築などによる施設整備の支援に加え、施設に関する規制緩和の促進やサ高住の整備の加速なども特に緊急に実施すべき対策として掲げられた。サ高住については、20年代初頭までに新たに約2万人分を確保することが目標とされた。

■介護福祉士目指す人への返還免除付き学費貸付、対象拡大へ

 人材確保策としては、▽離職した介護職員の再就業支援▽介護福祉士を目指す学生らへの返還免除付き学費貸付の大幅な対象拡大▽キャリアパスの整備を行う事業主に対する助成の拡充-も、特に緊急対応が必要な事項として盛り込まれた。 (CBニュース)