公益社団法人日本看護協会は、1月14日、「潜在看護職員の就業に関する報告」を公表した。(ケアマネジメントオンライン)

報告書は、全国60か所で看護職の職業紹介や復職支援を実施する都道府県ナースセンターの登録データを分析したもので、2003年度から2012年度までの求職者や求人の動向をまとめている。
それによると、ナースセンターの求人倍率は10年間に2倍近く増加。求職者の特徴としては40代以上が増加し、年代が上になるほど介護施設での就職を希望する傾向が高いことがわかった。
結婚や出産などで退職するなど、潜在看護師は全国で55万人にものぼると言われている。介護施設や訪問看護ステーションで看護職の需要が高まるなか、潜在看護師の求職・就業動向を把握することは重要だが、高い年齢層を中心に介護施設・事業所への就職希望が高まるなか、就業実績(施設別の割合)は多くはないことがわかった。


■60代の約5割が介護保険施設・事業所を希望


10年間の求職者の推移を年代別にみると、40代以上で増加傾向にある。また、病院への就職を希望する求職者は年齢とともに減少している一方、介護保険施設・事業所への希望は年齢とともに増加し、20代が29.0%、30代が34.8%、40代が36.4%、50代が43.1%、60代が49.7%だった。特に60代では介護保険施設・事業所を希望する割合が約5割を占めており、他の年代と異なる求職ニーズとなっている。

就業形態では、多様な働き方を望む求職者が増えてきたことから、常勤を希望する求職者は減少傾向にあり、非常勤あるいは臨時雇用を希望する求職者の割合は増加傾向にあり、2012年度では合わせて45.7%と半数近くに上った。
施設が募集している求人は、2003年から毎年7万件以上で推移し、2010年度以降に増加の傾向が見られ、2012年度は、8万5,275件だった。施設種類別では、診療所、介護保険施設・事業所、訪問看護ステーションなどの病院以外からの求人を合わせた割合は5 割弱の水準で推移し、病院と同程度となっている。


■介護施設の就職が少ないのはミスマッチが原因?



2012年度の求職・就職などの状況は以下の通り。

・求職者は6万3,309人で、うち各都道府県のナースセンターにより求人施設に紹介された紹介者は1万8,092 人、紹介を経て就業した就職者は1万1,993 人だった。

・就職した看護職は66.3%で、最終的に求職者全体の18.9%が就職した。就業中の求職者の紹介率は21.5%、就職率は12.1%の一方、未就業の求職者の紹介率は36.7%、就職率は27.0%と高く、現在働いていない看護職がより就業に結びついている。

・求職者の年齢別の割合は、「20代」11.5%、「30代」35.5%、「40代」34.5%、「50代」12.9%、「60代以上」5.6%で、実際に就業した者の割合は、「20代」8.7%、「30代」27.1%、「40代」32.8%、「50代」17.7%、「60代以上」13.7%だった 。

・就職を希望する施設種類は「病院」50.6%、「診療所」51.0%、「介護保険施設・事業所」34.4%、「会社・事業所」33.9%、「地方自治体」31.8%、「訪問看護ステーション」13.4%など(複数回答)だった。

・施設へ紹介された者の施設種類は、「病院」22.6%、「診療所」12.7%、「介護保険施設・事業所」6.1%、「訪問看護ステーション」2.6%、「会社・事業所」13.1%、「地方自治体」4.0%、「その他」39.0% だった。

・就職した施設種類は「病院」23.7%、「診療所」8.6%、「介護保険施設・事業所」4.9%、「訪問看護ステーション」2.3%、「会社・事業所」7.8%、「地方自治体」4.6%、「その他」48.0%だった。

・求人した施設種類は「病院」50.2%、「診療所」11.8%、「介護保険施設・事業所」15.7%、「会社・事業所」3.7%、「地方自治体」1.6%、「訪問看護ステーション」6.0%などだった。