東京大学大学院医学系研究科の研究グループは、マウスを使った実験により、関節リウマチの発症の鍵となるT細胞(exFoxp3Th17細胞)を新たに発見し、この細胞が免疫を抑制するT細胞からの分化転換により発生することを見いだしたと発表した。

関節リウマチは、自己の免疫系が自分自身の細胞を攻撃することによって起きる自己免疫疾患の中でも発症頻度が高く、関節の炎症と骨の破壊が主な症状。中年以上の女性に多く発症し、QOLを著しく侵害することから、介護保険を利用し、在宅療養をしている人も多い。

このような自己免疫疾患は、免疫の司令塔であるT細胞のうち、自己に対する免疫応答を抑制するT細胞と促進するT細胞のバランスが破綻すると発症すると考えられている。 しかし、関節リウマチの発症原因は不明な点が多く、また自己免疫疾患を促進するT細胞の発生メカニズムもこれまでよく分かってないため、根本的な治療法の確立が難しい状況にあった。

今回発見した新たなT細胞は、これまで知られていたT細胞よりも関節の炎症や骨破壊を強力に引き起こすとともに、他に類を見ない遺伝子群を発現することが明らかになった。これは同時に、関節リウマチだけでなく多発性硬化症や全身性エリテマトーデスなどのさまざまな自己免疫疾患の治療標的となる可能性を持っており、新しい治療薬や診断マーカーの確立に繋がることが期待される。(ケアマネジメントオンライン)