今年4月に介護報酬を3%引き上げる改定案を厚生労働省の社会保障審議会が答申したことについて、福祉関連の労働組合5団体が「介護労働者の2万円以上の賃金引き上げ」などを求めるアピールを発表した。5団体では「今回の改定の最大の課題は、社会問題化している介護従事者の確保にあり、将来に希望を持って働き続けられる職場づくりの第一歩を踏み出せるかどうかにかかっている」などとして、答申の3%にとどまらず、5%以上の引き上げなどを要求している。

 共同でアピールを発表したのは、日本自治団体労働組合総連合、全国福祉保育労働組合、日本医療労働組合連合会、全国生協労働組合連合会、全国生協労働組合連合会、全日本建設交運一般労働組合の5団体。

 5団体では、介護をめぐる状況について、「夢と希望を持って介護の仕事を選んだ労働者が、低い賃金と劣悪な労働条件で、3年以内に75%も離職している」と指摘。また、厚労省が昨年12月に発表した調査結果を挙げ、「現在、就労していない介護労働者の『7割が復帰したい』意向を持っていることが分かっている。復帰のためには、『給与を上げてほしい』との回答が最も多く、生活できない低賃金で職場を去らざるを得なかった仲間(労働者)の叫びが上がっている」と訴えている。

 さらに、5団体では、今後、高齢化がさらに進んで介護のニーズが高まる中、「国民は景気対策とともに、医療や介護など社会保障の充実を求めている」とした上で、「2008年度の厚生労働白書でも『社会保障関係事業の総波及効果は全産業平均よりも高い』と指摘している。一般の労働者と比べて15万円も低い介護労働者の大幅賃上げを図ることは、新たな雇用創出につながる景気対策でもある」と強調。介護保険制度の抜本的な改善には、介護労働者の2万円以上の賃上げや介護保険料・利用料の引き下げなどが不可欠としている。(CBニュース)