国土交通省の社会資本整備審議会は1月23日、「高齢者が安心して暮らし続けることができる住宅政策のあり方について」に関し、金子一義国交相に対し答申した。議論は同審議会の住宅宅地分科会(分科会長=越澤明・北大大学院教授)で、昨年の10月から進められていた。答申では、高齢化の進行や要介護の高齢者・高齢者の単身世帯の増加などを見据え、今後、公共賃貸住宅の活用などによる高齢者向けの賃貸住宅の整備やバリアフリー化の推進、地域包括支援センターの機能強化などが必要だとしている。

 答申では、今後講じるべき施策として、(1)住宅施策と福祉施策の一体的かつ計画的な推進(2)バリアフリー化の促進(3)高齢者向けの優良な賃貸住宅の整備(4)高齢者の居住安定確保のための公共賃貸住宅等の活用(5)高齢者円滑入居賃貸住宅の登録制度の見直し(6)高齢者の住み替え支援(7)地域ごとの課題や高齢者の多様なニーズを踏まえたきめ細かな対応―などを指摘している。

 (1)では、都道府県の住宅部局と福祉部局が一体となって、高齢者の「住まい」に関する施策を計画的に推進していく仕組みを設けるほか、市町村も地域の実情や都道府県の計画を考慮して独自に計画を策定すべきとした。
 また、高齢者向けの賃貸住宅を地域資源として位置づけ、地域包括支援センターを核とした地域包括ケアネットワークに組み込むことや、センターが高齢者の「住まい」に関する相談に対応できるようセンターの機能を強化することが必要だとした。さらに、これらの施策を進める上で、国交省と厚生労働省が共同で、高齢者の居住に関する施策について基本的な方針を示し、かつ必要な支援措置をすべきと指摘した。

 (2)では、高齢者などが行う住宅のバリアフリー改修費の負担を軽減すべきと指摘。地方公共団体によるバリアフリー改修費用に対する補助やリフォーム資金に対する住宅融資保険制度の創設、バリアフリー改修を促す税制の充実を提案している。

 (4)では、年金生活の高齢者が入居可能なバリアフリー化された公営住宅や都市再生機構(UR)の賃貸住宅の整備を進めるべきと指摘。また、公営住宅やUR賃貸住宅などの建て替えや改修に合わせ、医療・福祉施設の併設を進めることが求められるとした。さらに、近年増加している高齢者の孤独死の問題に対応するため、住宅管理と併せて見守りを行うなど、管理体制の強化を図るべきと指摘した。(CBニュース)